政府、新たな経済対策を閣議決定、観光インフラ整備強化へ
政府は8月2日、「未来への投資を実現する経済対策」を閣議決定した。年間訪日外国人旅行者数4000万人の目標達成に向けたインフラ整備などを含むもので、事業規模は28兆1000億円。複数年度にわたり国・地方の歳出7兆5000億円と財政投融資6兆円を充て、1.3%程度の実質GDP押し上げをめざす。国土交通省など関係省庁は今後、対策に沿って取り組みを進める。
観光分野については「我が国の成長戦略の大きな柱の1つであり、地方創生の切り札」と明記した上で、インフラの整備、安全・安心の確保、震災からの復興、地方創生の推進などについて、取り組むべき施策を定めた。このうちインフラ整備では「明日の日本を支える観光ビジョン」で定めた2020年の訪日外国人旅行者数4000万人などの目標達成に向けて、ハード面とソフト面の両方のインフラ整備を進めるため、「観光インフラ整備プログラム(仮称)」を年内を目途に策定するとした。
ハード面については大型クルーズ船受け入れのための港湾整備や、空港駐機場の整備などをはじめとする首都圏空港および地方空港の機能強化などを実施。ソフト面については、容積率に関する規制緩和を進めて旅館やホテルの建設を促すほか、「魅力ある公的施設の大胆な公開・開放」なども推進する。そのほか、リニア中央新幹線の整備については、45年を予定していた全線開業を最大で8年間前倒しする。
安心・安全の確保については、海外のテロに関する情報収集力や、安全情報の発信力の強化などをはかるほか、エボラ出血熱やジカ熱などの感染症に対する緊急対策を実施。サイバーセキュリティの強化や、中小零細企業によるサイバーセキュリティ対策保険の利用促進にも取り組むとした。そのほか、日本の魅力を発信するための「日本博」の開催も盛り込んだ。
震災からの復興では、東北について「被災者の自立につながり、地方創生のモデルとなるような復興を実現する」とし、「復興道路・復興支援道路、復興を支える港湾の整備等を加速するとともに、東北の観光振興を一層進める」と明記。東北地方への訪日旅行推進による観光復興事業などを展開するとした。一方、熊本については被災者支援や道路・施設の復旧などの対策が中心で、観光に関する対策はなかった。
地方創生の推進では、「地方公共団体での先導的な取組を着実かつ強力に推進するとともに、その裾野を広げることが必要」とし、空き家の「滞在型体験施設」や「交流・展示施設」への改修などを支援。軽井沢スキーバス事故を踏まえた安全対策についても、地方創生の観点から取り組むとした。