トルコ、クーデター未遂後の平穏を強調-「回復力」に期待
トルコ大使館文化広報参事官室日本担当ディレクターを務めるアリ・カラクシュ氏はこのほど本誌のインタビューに応え、7月15日に同国で発生したクーデター未遂事件後、イスタンブールなどの観光地が平穏を取り戻していることをアピールした。また、6月28日にイスタンブールのアタテュルク国際空港で発生したISILの関与が疑われる自爆テロに関しても、短時間で空港機能が回復し、通常業務を再開したことなどを説明し、トルコの「回復力」を強調。減少を続ける日本人旅行者数のリカバリーに向け、旅行業界の理解と協力を呼びかけた。
イスタンブールや首都のアンカラなどで発生した今回のクーデター未遂事件については、一般市民を含む290人超の死者、1400人超の負傷者が出たとの情報が伝えられているが、これまでに外国人の被害は報告されていない。このことについてカラクシュ氏は、反乱が限られたエリアで発生して短時間のうちに鎮圧されたこと、一般市民の被害者は多くが自らの意志で反乱勢力に抗議した人々だったことを説明し、観光客や観光地への影響は軽微との見方を示した。
今後の観光への影響については「ベルギー、フランス、ドイツなどテロ事件が起こったさまざまな国と同様に、苦難の時期に来ている」と述べた上で、イスタンブールなどの観光地については「すでに安全に旅行できる状態にある。西側ヨーロッパの大都市と比べて治安が悪いとは考えられない」と主張。昨年末の本誌のインタビューに続き、「シリアとの国境地帯などを除けば、現在もトルコ観光は安全な状況にある」と明言した。
文化広報参事官室は今後も当初のプロモーション方針を貫き、特定のイベントなどを軸にした「ユニークでテーマ性の高いトルコ旅行」のアピールを継続する方針。今年は災難続きながらも、すでに4回のファムツアーを実施しており、年内にはさらに3回のファムツアーを計画しているという。
トルコの「回復力」については、クーデター未遂や自爆テロ事件の後でもすぐに通常の生活を取り戻したことに加えて、「トルコはテロの脅威だけに限らず民族問題なども抱えているが、それでも問題を克服してきた歴史がある」と強調。「現在は不安要因を抱えていても、未来はまた平穏になる」との見方を示した。16年の日本人旅行者数の見通しについては回答を控えたものの、「一時は年間20万人を超えたことがあり、25万人を超える潜在力も秘めている」とコメント。今後の回復に意欲を見せた。
トルコを訪れた日本人旅行者の数は、10年から14年までは年間15万人から20万人の間で推移。しかし相次ぐテロ事件などにより、15年は前年比38.5%減の10万4847人にまで減少した。今年の1月から6月までの累計については、前年比55.0%減の2万4744人にとどまっている。