JALグ、1Q営利は39%減の「厳しいスタート」-高需要路線に注力
JALグループの2017年3月期第1四半期(2016年4月1日~6月30日)の連結業績で、売上高は前年比4.8%減の2972億1000万円だった。営業利益は39.1%減の220億9000万円、経常利益は49.8%減の197億500万円、純利益は54.9%減の147億2000万円となり、前年を大きく下回った。営業費用は0.2%減の2751億円。燃油費の下落や円高などで105億円減少した一方、サービスの強化や人材確保の人件費などで67億円増加した。営業利益率は4.2ポイント減の7.4%だった。
JL取締役専務執行役員の斉藤典和氏は7月29日の記者会見で、営業利益が39.1%減となったことについて「国際・国内線の需要減少が要因」と説明。予想比では計画を60億円も下回ったことから「厳しいスタートになった」と振り返った。
国際線の旅客収入は9.1%減の995億5100万円で、有償旅客数は2.3%減の205万2250人。座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)は1.2%増、旅客輸送量を表す有償旅客キロ(RPK)は訪日需要の増加で0.4%増、座席利用率は0.6ポイント減の78.2%だった。単価は燃油サーチャージ分の減少などで7.0%減の4万8508円、イールドは9.5%減の10.0円、ユニットレベニューは10.2%減の7.8円。
方面別では、欧州はテロ事件などで日本発の観光需要が8%減少した一方、旺盛な訪日需要により、全体の座席利用率は前年比5ポイント増の約78%となった。北米は、日本発のビジネス需要の不調により減少。中国は、好調な中国発の需要に対し、日本発の観光・ビジネス需要はともに17%減と大きく前年を下回った。訪日需要は全体で2%増となり、このうち欧州発は30%増、東南アジア発は2桁増。中国発も7%増となった。
国内線の旅客収入は0.4%減の1094億2700万円で、有償旅客数は1.0%減の746万5134人。ASKは2.6%減、RPKは1.7%減で、座席利用率は0.6ポイント増の63.7%となった。単価は「JAL SKY NEXT」の投入路線の拡大で個人客が増加したことなどにより、0.6%増の1万4658円。イールドとユニットレベニューも、それぞれ1.3%増の19.7円、2.2%増の12.5円と増加した。方面別では、地震により九州の観光需要が減少。ただし7月以降は回復傾向にあり、個人・団体ともに計画値を上回る見通しという。
今後は需要の高い路線で、機材の大型化や臨時便の運航をおこない増収をはかる考え。国内線では需要の高い路線に中型機のボーイングB767型機を、需要が低い路線に小型機のボーイングB737型機を振り分けるなど、機材を柔軟に変更して需給適合をめざす。国際線については、需要の高いホノルル線での臨時便運航を検討する。加えて、部門別採算制度などによるコスト削減に取り組むことで「何としても年間営業目標の達成をはかる」方針。通期の連結業績予想は売上高1兆3430億円、営業利益2010億円、経常利益1930億円、純利益1920億円を据え置く。