ジャルパック、欧州復活に意欲-九州復興でJTBと共同企画
ジャルパックはこのほど、2016年下期の海外・国内旅行商品を発売した。7月26日の会見で代表取締役社長の藤田克己氏は、下期の海外旅行商品で欧州、ハワイ、アジアを重点方面とする方針を説明した。欧州については、7月14日の南仏ニースでのテロ事件や、ミュンヘンでの銃乱射事件などが旅行需要に与える影響に懸念を示しながらも「欧州の復活なくして海外旅行の復活はない」と強調。収益を確保するために長距離方面の販売に注力する必要性を語った。
同社ではニースでの事件発生以前に、欧州方面の下期目標として、前年比37%増の1万3000人を設定(関連記事)。藤田氏は「目標の下方修正はあるかもしれないが、今はこのまま目標を維持し、強い決意で臨みたい」と意欲を示した。顧客には現地支社などから収集した最新の情報を提供するとともに、現地で事件などが発生した際には迅速に旅行者の安否確認をおこなうなど、「基本的な対応を着実にこなしていく」。藤田氏は「今はどこを旅行しても不安がある。旅行者が自己防衛しながら、リスクがある前提で旅行する市場を作っていかないと」と話した。
ハワイは日本航空(JL)がホノルル線の機材を変更し、上級クラスを増やしエコノミークラスを減らしたことなどで、上期は17%減の3万8000人を予想。下期の目標も16%減の3万7000人とした。藤田氏は「(目標数は減少したが)ハワイはジャルパックのなかで一番重要なデスティネーション」と強調し、引き続き注力していく方針を強調した。「ボリュームゾーン」と位置づけるアジアは取扱人数の増加をめざして取り組みを強化。特に韓国が回復傾向にあるといい、「好調なアジアが全体の牽引役になれば」と期待を示した。
同社の海外旅行全体の下期の目標人数は2%増の10万1000人で、上期見込みの9万9000人と合わせると20万人になる。藤田氏は「20万人は堅守したい最低ライン」と語り、17年度以降も年間20万人の取り扱いをめざす方針を述べた。下期は欧州の政情不安などがある一方、訪日外国人旅行者数の伸びが比較的落ち着いてきたことで航空座席が仕入れやすくなったことや、円高などがプラス要因になる見通し。
下期は「ジャルパックの取扱人数規模を意識したサービスの提供」「付加価値の磨き上げ」「ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラスの販売」の3点に取り組む。規模を意識したサービスでは、ジャルパックの「取扱人数が大きすぎず小さすぎない、独自のポジショニング」を活かしたサービスの拡充をはかる。例えばハワイでは17年1月を目途に、ホノルルの「シェラトン・ワイキキ」内の「JALPAKアロハラウンジ」を刷新。既存のラウンジから敷地面積を4倍以上に拡張し、営業時間も17時までから21時までに延長する。なお、ラウンジのリニューアルに合わせ、DFSギャラリア内にある「DFSアロハラウンジ」は営業を終了する。
付加価値の磨き上げでは、欧州で人気だった1名催行コースをパンフレット「アジアリゾート」の全コースに適用。ハワイでは10日前の申し込みで、オプショナルプランを通常の半額程度に割り引く。上級クラスの販売では、ハワイでビジネスクラス、プレミアムエコノミークラスを片道ごとに選択できるようにした。
なお、藤田氏は上期を振り返り、欧州の政情不安やゴールデンウィークの日並びの悪さなどで予約が伸び悩んでいることを説明。方面別ではアメリカやオーストラリア、アジアが好調という。
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