Google、訪日誘客にはウェブ活用が必須-日経BP商談会から

「インバウンド・ジャパン2016」会場の様子。多様な業種業態の企業が出展していた 日経BP社が主催する訪日旅行展示会「インバウンド・ジャパン2016」で7月21日、Googleでの検索トレンドから訪日プロモーションの可能性を探るパネルディスカッションが開催された。パネラーはGoogle観光立国推進部長の陣内裕樹氏、岡山県特命参与(情報発信担当)の森本登志男氏、日経BPインフラ総合研究所プロデューサーの高津尚悟氏、モデレーターは元気ジャパンの渡邉賢一氏。

 この中で陣内氏は、Google創業者のエリック・シュミット氏が2025年には世界約80億人の人々のほとんどが何らかの形でインターネットに接続すると予測していることを紹介し、旅行者のデジタルシフトが今後も進んでいくと説明。そして、そうした中で重要なのはいわゆる「プロダクトアウト」ではなく「マーケットイン」の考え方であると語った。

 自治体やDMOのプロモーションは、自分たちがいいたいこと、したいことが主眼になりがちで、例えば地名を前面に押し出すことが自然と捉えられることが多いが、実際には日本の地名で最も検索されている「tokyo」でもその回数は「ninja」の半分以下で「sakura」と同程度。このように検索キーワードは消費者の興味であり、その興味を無料で把握できる時代である以上、その興味にあったテーマを採用したプロモーションが重要という。

 また、プロモーションの展開手段としてもオンライン分野を強化すべきとの考え。観光庁の調査で、出発前の情報の入手先のうち役立ったものとして「デジタル」の選択率が51%に上るにもかかわらず、陣内氏の想定する自治体予算のオンライン広告への投下率は5%程度。

 先進事例として、米国の官民合同観光プロモーション組織「ブランドUSA」では広告費の63%をオンライン広告、特に動画広告に投じている。この差について、マイクロソフトを経て佐賀県の最高情報統括監(CIO)を務めた経験を持つ森本氏は、行政では過去からの継続が重視され外的要因がなければ新しいことに挑戦しにくい点や、予算確保が活動の前提となり、期中にチャンスがあってもすぐには着手しにくい点が課題であると説明した。