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JATAと都が訪日セミナー、旅行者分散やMICE誘致を強化

  • 2016年7月19日

セミナーには多くのJATA会員旅行会社が集まった  日本旅行業協会(JATA)はこのほど、東京都産業労働局観光部と共同で「JATAインバウンドセミナー」を開催した。冒頭で挨拶に立った同局観光部長の坂本雅彦氏は、東京都のインバウンド政策について、「経営の視点からのサポートを拡充し、受入環境の整備、MICEへの取り組みなど民間のインフラを整える施策を加速させていく」と説明。日本全体の経済活性化につながることから、「東京都の観光行政は極めて重要」との認識を示した。

 セミナーではまず、観光部企画調整担当課長の川口貴史氏が東京都の観光施策について説明した。2015年の訪都外国人旅行者は約1189万人となり、初めて1000万人を突破。旅行消費額も約1.1兆円を超え、日本全体の約3分の1を占める結果となった。

 一方で川口氏は課題も指摘。都内ホテルの稼働率は約8割に達しているが、旅館は約6割にとどまっている現状を報告し、「旅館への外国人誘客をテコ入れしていく」考えを示した。また、外国人の訪問は都心部が中心で、多摩地域や島しょ部への送客は進んでいないことから、都内での旅行者分散も強化していく方針。

 東京都では14年に「東京都長期ビジョン」を策定。東京ブランドの推進、MICE誘致の強化、観光資源の開発と発信、無料WiFiなど受入環境の拡充を施策として掲げたうえで、東京オリンピック・パラリンピックを開催する20年には訪都外国人1500万人、24年には1800万人の目標を設定した。また、国際会議については過去10年で開催件数は4.3倍に増え、15年は249件となったものの、アジアの競合都市には及ばないことから、中小MICEやイベントの誘致も強化することで、24年までに年間330件の開催をめざす。

 このほか、今後の方針として、消費拡大に向けて多言語コールセンターの拡充など事業者に対する支援を強化していくほか、「水辺のにぎわい創出事業」の支援、東京と地方を結ぶ観光ルートの設定などに取り組む。東京都では現在、「東京都観光産業振興アクションプログラム2017」を策定中で、今後の方向性や中長期的な目標を加え、今年度中に最終案をとりまとめる予定だ。

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