楽天トラベル、AIなど新技術活用へ-下期は決済など注力
楽天は7月11日、楽天トラベル加盟宿泊施設向けのイベント「楽天トラベルEXPO2016」を開催した。楽天はこのほど社内カンパニー制度の導入を決定し、7月1日には新体制への移行を完了。楽天トラベルが所属するライフ&レジャーカンパニーのプレジデントを務める楽天常務執行役員の武田和徳氏は、新体制では新たな役職としてCTO(Chief Technology Officer)を設置したことを説明し、「(人工知能などの)新しい技術と事業をいかに早く融合し、お客様の要望に合ったサービスを提供するかが重要」と語った。今後は技術開発サイドの事業部の協力をさらに強化するという。
楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏はビデオメッセージで、「人工知能をいかに使っていくかが今後の大きなポイントになる」と語り、楽天トラベルでAI Botを活用したチャット形式のコンサルティングサービスを開発していることを紹介。AIのコンシェルジュがチャットで顧客に対し、個別のプランを提案できるサービスで、「人工知能がさまざまな形で旅行をより快適かつ楽しいものにする。そういう時代がそこまで来ている」と強調した。
イベントでは同カンパニーのディレクターで、トラベル事業副事業部長国内営業部ジェネラルマネージャーの羽室文博氏が16年下期の戦略を説明。「(宿泊施設の)皆様にとって無くてはならないOTAとして活動していきたい」と述べ、「そのためには我々自身のクオリティを上げる必要がある」と語った。
下期は決済、集客、カスタマーサポートの3点における質の向上をはかる。決済については、スマートフォン経由の旅行予約や訪日旅行者の予約が増加するなか、クレジットカードで決済をおこなう顧客が増加傾向にあることを説明。こうしたなか、4月1日からカード決済の際の手数料を2.0%から1.9%に下げたことを強調した。また、キャンセル料の徴収体制を強化し、5月から現地決済プランの予約をキャンセルした顧客に対しては、キャンセル料を徴収する旨を通知。楽天トラベル経由でキャンセル料を徴収するサービスも開始した。
集客については、宿泊施設が割引原資を負担している「ショップクーポン」を「たびクーポン」に刷新。施設が利用日や利用枚数を制限できるようにしたほか、クーポンを使う際の宿泊代金の下限を設定するなどの機能を追加し、利便性を高めた。カスタマーサポートについては、4月1日から予約者専用の電話窓口を設置。日本語の場合は毎日24時間、英語、中国語、韓国語の場合は毎日9時から19時まで、無休で問い合わせに対応する。
同カンパニートラベルプロダクトマネジメント課シニアマネージャーの齊藤満氏は、宿泊施設向けのサービスの質の向上をめざし、楽天トラベルの加盟宿泊施設が利用する管理画面をリニューアルしていることを説明。作業の簡略化や、宿泊施設が自由に作成できる「カスタマイズページ」の表現方法の多様化を進めるもので、第1弾として7月4日にページの構成を刷新。新たに6ヶ月先までの予約状況を確認できる機能を追加したほか、予約者の性別などの属性を表示できる機能などを付加した。
さらに、ユーザーエクスペリエンスの質の向上をはかるための新サービスを紹介。世界中の旅行関連パンフレットを掲載するアプリ「PATW(パトゥー)」の提供を7月下旬に開始することを説明した。スマートフォンやタブレットで閲覧できるもので、パンフレットの掲載や閲覧は無料。現在、国内にある各国の政府観光局や地方自治体にパンフレットの掲載を呼びかけているという。