OTA、LCCとの関係強化を要望‐CAPA国際会議
ともに成長著しいOTAとLCC
パートナーシップ強化で旅のブランド力向上を
オーストラリアの航空関連シンクタンクであるCAPA - Centre for Aviation(CAPA)の国際会議「CAPA LCCs in North Asia Summit 2016」が6月7、8日の2日間、ヒルトン成田で開催された。8日のトークセッションでは、「北アジアにおけるOTAの爆発的成長と今後の課題」をテーマに、Booking.com、DeNAトラベル、トラベルポート、ベンチャー・リパブリックからアジア太平洋地区担当者などが登壇。モデレーターはウェブ・イン・トラベル(WIT)のイェオ・シュウ・フーン氏が務めた。
Booking.comディレクター、ストラテジック・パートナーシップAPAC デイビッド・ペラー氏
DeNAトラベルCIO 中村純氏
トラベルポートディレクター・オンライン・ビジネス・グループ アジア太平洋担当 ミン・フン氏
ベンチャー・リパブリック代表取締役社長 柴田啓氏
モデレーター
ウェブ・イン・トラベル(WIT)創設者 イェオ・シュウ・フーン氏
アジア太平洋地域でOTAが爆発的成長
トークセッションでは冒頭にモデレーターのフーン氏が、ここ十数年のOTAの「劇的な変化」について、フォーカスライトの調査データを提示して説明した。データによれば、2002年のオンライン旅行予約総額は米国の280億米ドルに対して、アジア太平洋地域はわずか48億米ドル。しかし、16年は米国の1620億米ドルに対してアジア太平洋地域は1370億米ドルまで成長し、米国に肉迫している。
アジア太平洋地域を国別に見ると、02年は48億米ドルのうちの43%が日本、1%が中国だったのに対し、16年は1370億米ドルのうち24%が日本、41%が中国。割合はもちろん、伸び率でも中国が群を抜いているという。
アジア太平洋地域、ヨーロッパ、米国で比較しても、アジア太平洋地域のOTAは他地域より伸びており、フーン氏はスマートフォンなどのモバイル端末の存在が大きく関わっていると説明。16年のオンライントラベル市場におけるモバイル経由の予約のシェアを国別に見ると、最も多いのは中国で53%。日本が31%、英国が25%、アメリカが21%、インドが19%と続いた。
OTAにおける旅行素材の予約状況については、ホテルが多い。14年のアジア太平洋地域におけるホテル予約のうち、OTA経由の予約は全体の69%と極めて高い割合であったのに対し、航空券については、OTA経由は31%でホテルに比べ半分以下という結果だった。OTAと同様に利用されているのは、複数の検索エンジンで最安値などを一括検索するメタサーチで、ホテル、航空券ともによく使われていた。
こうした調査から、フーン氏は「オンライン化が進んだ旅行業界は今、転換期にある」と説明。パネリストからは、モバイル経由の予約が増加するなか、「今後もリアルな店舗からOTAへと移行が進んでいく」との意見が挙がった。