現地レポート:カンボジア、増えるアンコール・ワット以外の魅力
各地で観光素材の整備が進行
新たなターゲットの可能性も
カンボジア旅行の定番といえばアンコール・ワット。同国を代表する人気の観光スポットであり、インドシナ旅行の目玉としても欠かせない存在だが、ここ数年でカンボジアは各地で観光素材の整備がどんどん進み、アンコール・ワットだけでは語れない魅力にあふれてきている。今年9月には全日空(NH)が成田/プノンペン線に就航することもあり、ますます注目度が高まりそうだ。
変わるシェムリアップ
ターゲット層は「フラッシュパッカー」
アンコール・ワット観光の拠点となる街として知られるシェムリアップは、人口20万人にも満たない街の規模に反して数多くのホテルが立ち並び、今年に入ってからもいくつものブティックホテルがオープン。1泊の料金は約3万円からと、高級ホテルと変わらない金額設定でありながら、若い客層を中心に人気を博している。多くは30室から40室程度のこぶりなホテルで、それぞれ趣向が違いハイセンス。オールドマーケット付近に建設中のホステルも、ファッションビルと見紛うほどおしゃれ感が漂う。
現地旅行会社のスタッフによると、こうした物件が増えているのは「フラッシュパッカー」の存在が大きいという。実際のところ、アンコール・ワットでも特に人気の高いアクティビティである日の出を鑑賞するツアーでは、多くの団体旅行者に加えて、FITと見られる若い旅行者の姿が多かった。
以前はFITの多くはバックパッカーで、極力お金を使わないことに腐心していたが、フラッシュパッカーたちは使うところにはお金を使う。個人でトゥクトゥク(三輪タクシー)をチャーターしてアンコール・ワットにさっそうと乗りつけ、ただ写真を撮ったらホテルに戻って優雅に朝ごはん。夜は繁華街のパブストリートに繰りだし、おしゃれなレストランで食事をしたり、新しくできた洗練されたサロンでまったりしたり。そんな行動パターンで、マイペースに過ごしたい旅行者が増えているという。
シェムリアップはもはや単なる遺跡めぐりの拠点ではなく、「ジャングルに囲まれたおしゃれなアーバンリゾート」といったユニークな存在だ。毎年のように新しいホテルやレストランがお目見えするため、リピーターにも新鮮味がある。FIT、特に若い層には街自体の楽しさを強くアピールしていくのがよさそうだ。