JATAが緊急の「欧州復活フォーラム」、独自性追求へ
日本旅行業協会(JATA)は6月24日、「欧州旅行復活に向けた緊急フォーラム」を開催した。冒頭に登壇した、副会長で海外旅行委員長を務めるワールド航空サービスの菊間潤吾氏は、2016年上期の欧州への日本人旅行者数が前年から約3割減少している旨を説明。「OTAのダイナミックパッケージについてはそれほど落ち込んでいないが、通常のパッケージツアーが思うようにいかない」とし、「旅行会社は何を意識して商品造成をするべきか。今後は知恵を出すことが問われていく」と語った。
緊急フォーラムでは、ミキ・ツーリスト執行役員営業本部副本部長の櫻井隆文氏が、16年1月から6月までの欧州市場の状況を説明した。日本人旅行者数は同時多発テロが発生したフランスで74%減、ベルギーで67%減と低迷。直接的なテロの影響がなかったイタリアについても35%減と落ち込んだ。一方、スイスは22%増、北欧は10%増と増加した。
売れ筋の方面は、今までは日本人の訪問が少なかったイタリアの小さな都市やスコットランドのスカイ島、バルト3国、ポーランド、アイスランドなど。同氏は「欧州の人々に人気の小国や、安全なイメージがあり自然を楽しめるデスティネーションに日本人の目が向きはじめている」と話した。
JTBワールドバケーションズ欧米部長の鈴木浩之介氏は、欧州のパッケージツアーについて「高い商品ほど落ち込みは小さく、価格訴求型で低価格の商品が振るわない」と説明。添乗員付きのツアーよりもホテルや航空券のみのツアーや、航空券の単品販売が好調に推移しており、FIT化が進んでいるとした。
鈴木氏は、顧客のニーズが多様化するなか、「(旅行素材を)大量に仕入れてツアーを造成しても大量消費はされない」と話し、「明確な『目的型ツアー』が今のお客様から支持を集める」と強調。季節や期間限定の観光素材、周年行事、貸切観光などの独自のコンテンツを活用することを呼びかけた。
Team EUROPE委員長を務めるグローバルユースビューロー会長の古木康太郎氏は、旅行会社各社が独自ツアーを造成することで、会社としての価値を高めていく必要性を強調。「ツアーオペレーターと旅行会社が一緒に商品を開発し、開発したものについてはその旅行会社のみで販売するといった取り組みができれば」と話した。菊間氏も観光局やツアーオペレーター側に対し、「『オンリーワン』のツアーを作るための積極的な情報提供をお願いしたい」と呼びかけた。
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