週間ランキング、1位はJTB個人情報、2位はエイベックス新会社

[総評] 今週の1位は、ジェイティービー(JTB)グループで不正アクセスによって個人情報が漏洩した可能性があることをお伝えしたニュースでした。あくまで可能性とのことですが、対象者が800万人近くにのぼり、さらにパスポート情報も含まれるとのことで非常に大きなインパクトを感じます。

 一般紙、テレビ、IT系ウェブサイトなど様々な媒体に取り上げられているなか、興味深いのは激しい批判がほとんどないことです。例えば発覚から公表までに約3ヶ月かかっている点は、理由はどうあれ「遅すぎる」と攻撃されてもおかしくなく、むしろ擁護的な論調が多かったことは意外でほっとしています。

 いわゆるメディアスクラムは、今回の舛添都知事の一件を見てもわかるように、理屈も道理も善悪もそっちのけの袋だたきのようなものです。彼は辞任しなくても良かったなどとはこれっぽっちも思いませんが、辞めさせることが目的のような報道は本末転倒です。

 私も同じくメディアに従事してはいるものの、旅行業界誌として業界で働く皆様のためになる情報をお届けすること、もっといえばいかに皆様のお役に立つかを考えることが役割であることを大変ありがたく思います。

 閑話休題。今回の論調がなぜ穏やかなのかは分かりませんが、もしかするとどの会社にとっても「明日は我が身」だからかも知れません。聞くところによると、ANAグループのメールアドレスを偽装していたりEチケット控えのPDFがウィルスの実行ファイルであったりと業界について知悉しているのではないかと思われる手口で、見破れるかと自問してもまったく自信がありません。

 対策としては、騙されてウィルスに感染してしまっても被害が広がらないようにするべきだそうです。何もしないわけにはいかないものの投資は負担が大きく、いっそのことインターネットを使わずに仕事ができれば、と考えても時間の無駄で、あれこれ迷って結局何もせず運任せ、となるケースが一番多そうですが、逆にまずは知らない人物からの添付ファイルを疑ってみるなど基本の対応から徹底していくのも手かもしれません。

 なお、今週はこのほか第7位にジンエアー(LJ)の記事がランクインしました。大韓航空(KE)で長年営業を担当された一柳誠氏が東京支店長に就任されたことをきっかけにお話をお聞きしたもので、FSCのベテラン営業担当者がLCCをどう販売されていくのか興味深くて仕方ありません。

 FSCとLCCについては、何度も書いている通り双方が互いの特徴を取り込みあって中間的な存在に収斂していく可能性があり、実際に会社によってはそうなってきていますが、実際に身近でそれを観察できる機会はめずらしいと感じます。旅行会社との新たな関係を模索されるか、あるいは同じ手法に価格差を強みとして上乗せされるか、今後も継続して取材をさせていただくことを楽しみにしています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2016年06月10日0時~06月17日18時)
第1位
JTB、個人情報流出か、約793万人分-7月に対策部門新設(16/06/14)

第2位
エイベックスグループが旅行会社を設立、第1種取得へ(16/06/15)

第3位
JTB総研が緊急調査、5月までの海外旅行市場を分析(16/06/16)

第4位
セブパシフィック、新路線の安定に注力、旅行会社と協力(16/06/12)

第5位
NAA、成田/関空線の着陸料を軽減、今年4月分から(16/06/13)

第6位
日本航空、新シート搭載のB772ERを羽田/バンコク線に導入(16/06/13)

第7位
ジンエアー、日本での販売強化へ、前KE日本地域本部長らが意欲(16/06/15)

第8位
第1回日本サービス大賞、内閣総理大臣賞に「ななつ星」(16/06/14)

第9位
スカイスキャナー、ヤフーとの連携で日本での認知度向上(16/06/16)

第10位
AAA、成田/バリチャーター、今夏32往復(16/06/13)


※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
 ◆週間ランキング、1位はWIT、「新しい常識」へ備えを(16/06/10)