今年もWIT開催、OTAの販路や民泊など議論
▽日本のOTA、アプリや検索サイトに期待、民泊参入も
6月3日には10テーマでパネルディスカッションを開催。このうち、「変わりゆく日本マーケット-主要OTAの動向」と題したパネルディスカッションでは、WIT創設者のイェオ・シュウ・フーン氏とベンチャーリパブリック代表取締役社長の柴田啓氏がモデレーターを務め、楽天、ヤフー、リクルートライフスタイル、一休、i.JTBからのパネリストが一問一答形式で意見交換をおこなった。
インターネット経由での旅行予約が増加するなか、「2年後の自社サービスの顧客はどこから流入するか」との問いについては、各社が想定する比率を発表。ヤフーのショッピングカンパニー予約事業本部でトラベルサービスマネージャーを務める西田裕志氏は、30%が比較検索サイト、10%がソーシャルメディア、60%がアプリを中心とした「その他」になると予想した。リクルートライフスタイル執行役員で旅行領域を担当する宮本賢一郎氏は「2年後についてはわからないが、現在は検索サイトが圧倒的に強い」と述べるにとどめた。
楽天トラベル事業部副事業長兼編成・マーケティング部部長の高野芳行氏は、30%が検索サイト、70%が同社サイトでの直販となり、ソーシャルメディアは0%と説明。同社サイトへの流入をさらに増やすためには、ロイヤリティを高めていく必要があると語った。一休代表取締役社長の榊淳氏は、検索サイトが100%になると予想。今年2月にヤフーの連結子会社となったことに期待を示した。
i.JTB執行役員で販売本部副本部長の山口健一氏は、店頭と検索サイトがともに40%で、残りの20%がソーシャルメディアと回答。実店舗を持つ旅行会社ならではの強みを強調した。
民泊サービスについては、一休が「高級分野に特化して参入したい」と意欲を表明。ヤフーは「トラベル事業としては(方針が)決まっていないが、会社としてはイベント民泊を取り扱っている」ことから、検討を進める姿勢を示した。i.JTBやリクルートライフスタイルは、会社としての方針を決定していない旨を説明。楽天は、既存の宿泊施設と民泊サービス提供者を平等に扱う法整備の必要性を説いた。
「自分が観光行政のトップで、100億円の予算があれば何をするか」との質問に対しては、ヤフーが「尖った観光資源の発掘・創出」、リクルートライフスタイルが「地域の観光地の受入整備」、楽天が「WiFi環境の整備」を挙げた。一休は「旅館ブランドの世界中への浸透」、JTBは「航空機や鉄道、バスなどの交通費用の低減化」と回答した。
このほか「今後3年間で最も注力したいこと」については「AI」「ビッグデータ」「カスタマーサービス」などの選択肢から、ヤフー、リクルートライフスタイル、楽天がビッグデータを、一休がビックデータとAIを、i.JTBがカスタマーサービスをそれぞれ選択した。