ブリュッセル、「通常通り」をアピール、10月にセミナーも
ベルギー観光局ワロン・ブリュッセルは5月19日、都内で旅行会社やメディア向けに観光セミナーを開催した。日本・ベルギー友好150周年を記念して、20日まで東京で開催中のプロモーションイベント「ブリュッセル・デイズ」に合わせたもの。来日したブリュッセル首都圏政府首相のルディ・ヴェルヴォールト氏は、3月22日にブリュッセルで起きたテロ事件について触れた上で、現在は安全対策を強化しており、街が通常通りの状態に戻っている旨を説明した。
同政府ではテロ対策に向けて、新たに30の法律を制定し、市内に1800名の兵士を配置。観光地の入口で手荷物検査をおこなうなど、警備体制を強化している。ヴェルヴォールト氏は「国レベルでは安全対策に4億ユーロ(約500億円)を投じており、新たに2000万ユーロ(約25億円)を費やして地下鉄の安全対策を実施した」と説明。3月23日以降に予定されていたイベントは通常通り開催されており、EUの首脳会議なども問題なく実施したことをアピールした。
ブリュッセル観光局本局長のパトリック・ボンティング氏は、テロ事件の影響による旅行需要の落ち込みについて説明。ビジネス需要は回復傾向にあるが、レジャー需要は20%から25%減少しているという。同氏は「ブリュッセル市民の生活は通常通りに戻っている」と強調し、閉鎖していたブリュッセル空港も現在は機能の8割を回復し、6月末には完全に回復する予定と説明。旅行会社に対して、積極的な送客を呼びかけた。
本誌の取材に応えた同局セールス・マネージャーのアヌーシカ・シュミッド氏は、「テロの影響が一段落する」と予想する9月に、日本を含む世界中の旅行業関係者などを対象に、ファムトリップをおこなう予定を明かした。10月には再度来日し、ベルギー観光局ワロン・ブリュッセルとベルギー・フランダース政府観光局との共同でセミナーを開催する計画。旅行会社に新しいブリュッセルの観光素材やモデルプランなどを提案することで、17年の誘客につなげたい考えを示した。
同局では5年前に2020年の海外旅行者の宿泊数の目標値を定めており、10年の500万泊を、20年には1000万泊に増加させるべく活動しているところ。15年については前年比4割増の700万泊と大幅に増加しており、このうち日本人宿泊数は前年比12.8%減の11万6848泊。シュミット氏は日本市場について「16年の見通しは不透明だが、昨年並みの数字に落ち着かせたい」とコメントした。
▽ワロン・ブリュッセル、積極的な旅行商品の販売訴え
ベルギー観光局ワロン・ブリュッセル局長のダミアン・ドーム氏は本誌の取材に応え、今年1月から4月までの同地域への訪問者数について「悪くない状況」と説明した。旅行会社からは「お客様のキャンセルは発生したが、ツアーの催行は1本も中止にならなかった」との声も挙がったという。ただし、5月以降のパッケージツアーの新規予約の伸びが鈍いことから「旅行会社がツアーを積極的に販売しなくなっているのでは」と懸念を表明。「ベルギーは変わらず安心・安全。ぜひ商品を販売していただきたい」と訴えた。
同局はベルギー・フランダース政府観光局と共同で11月まで、TwitterとInstagramを活用し、ベルギーや日本におけるベルギー関連イベントの写真を、ハッシュタグをつけてツイートした人に旅行などを贈呈する「美ベルギー フォトキャンペーン」を11月まで開催中。こうした取り組みを通じてベルギーの露出を高め、誘客につなげていきたい考えだ。