クリスタル・クルーズ、夏のアラスカを訴求、需要獲得へ
このほど来日したクリスタル・クルーズのインターナショナル・セールス&マーケティング担当ヴァイス・プレジデントのヘレン・ベック氏と、インターナショナル・セールス・ディレクターのマーニー・タルシノス氏は本誌の取材に応じ、日本市場の重要性を強調した。ベック氏は「日本市場は間際需要がとても強い市場で、成長を期待している」と語り、今後は旅行会社への働きかけなどにより需要の取り込みを強化する考えを説明。「今年の日本での取り扱いは、少なくとも昨年から5%成長する」との見通しを示した。
同社は、昨年11月にパリで発生した同時多発テロ事件以降、日本人の欧州旅行需要が減退していることなどから、客船「クリスタル・セレニティ」による夏期のアラスカクルーズなどを日本市場に訴求する考え。ベック氏は「アラスカへの間際需要が増え、好調に推移するのでは」と期待を示した。
タルシノス氏は「クリスタル・クルーズでは、6ツ星クラスの高品質なサービスを提供しており、日本人からも高い評価を受けている」と説明。昨年5月には親会社が日本郵船からゲンティン香港に変わったが、「船上でラグジュアリーな体験を提供する点では変更はない」とし、「将来的な成長を見越して、日本市場の基盤づくりをめざしていく」と語った。
▽新事業を推進、航空でプライベートジェットも
クリスタル・クルーズでは昨年、2018年までに航空会社、リバークルーズ、ヨットサイズの小型船などの新事業を開始する計画を発表。タルシノス氏は航空事業の「クリスタル・ラグジュアリー・エアー」について、新たにプライベートジェット用に小型機を2機導入する予定を明らかにした。今年の3月には1機目として全12席のボンバルディア・グローバル・エクスプレスXRS型機を受領し、予約を開始。家族旅行などでの利用を見込む。
さらに、17年にはファーストクラス88席のみのボーイングB777-200LR型機を、18年にはファーストクラス60席のみのB787型機を導入する予定。大型機では14日間または28日間のツアーを設定し、世界一周旅行や、グルメやワイン、ゴルフなどテーマ性の高い旅行を提供するという。
リバークルーズについては、音楽家の名を冠した客船を7隻体制で運航し、欧州でのクルーズを実施する。ベック氏は「オールインクルーシブでクリスタル・クルーズと同レベルのサービスを提供する」と強調。客室は全室スイートで、バトラーサービスを提供するほか、無料の寄港地観光やミシュランの星つきレストランでの食事も用意した。
今年の7月13日には1隻目となる「クリスタル・モーツァルト」が就航する。スイスの客船オーナーから「MSモーツァルト」を購入して改装したもので、乗客定員は158名。残りの6隻は新造船で、17年から19年にかけて就航する計画だ。
ヨットサイズの小型船については「クリスタル・エンデバー」(2万5000トン、乗客数200名)の建造を発表したところ。客室数は100室で、18年8月に完成するという。