成田、15年度は民営化後の最高益-16年は羽田の影響も

  • 2016年5月16日

▽16年度も最高益予想、羽田昼間枠で米国線は15万人減

 16年度の連結業績は、営業収益は5.3%増の2300億円、営業利益は3.7%増の449億円、経常利益は4.0%増の401億円、当期純利益は13.0%増の274億円と増収増益を予想。営業収益はアジア圏などの旺盛な訪日旅行需要を受け、リテール事業などが牽引し増収となる見込みだ。ただし、NAA代表取締役社長の夏目誠氏は中国人の消費について「『爆買い』が下火になってきている。高額商品に対する需要が弱まってきたことが空港内店舗の様子からも伺える」と語り、伸び率は鈍化するとの見方を示した。

 航空取扱量では、航空機発着回数は3.9%増の24万4000回を予想。このうち国際線は4.4%増の19万2000回、国内線は2.0%増の5万3000回を見込む。航空旅客数は3.0%増の3909万人で、国際線は3.4%増の3212万人、国内線は1.3%増の697万人。国際線では日本人旅客数で6%減、外国人旅客数で15%増を見込んでおり、夏目氏は「外国人旅客数が日本人旅客数を初めて上回る」との予想を示した。15年度中にも7ヶ月、日本人を上回った月があるという。なお、通過客は1%から2%減少する見込みだ。

 さらに夏目氏は、羽田の昼間時間帯の発着枠で各航空各社が米国路線を開設することが、成田の旅客数に影響を与えるとの考えを示した。同氏は、全日空(NH)が先ごろ、冬ダイヤで羽田/ニューヨーク、シカゴ線を開設し、成田/ニューヨーク、シカゴ線を現在の1日2便から1便に減便すると発表したことについて触れ、「一時的には影響を受けるのでは」とコメント。冬ダイヤでは羽田/米国線の路線開設により、旅客数が約15万人減少するとの見通しを示した。

 その上で夏目氏は、成長が見込まれるアジア諸国とのネットワークや乗継機能などを強化することにより、「北米とアジアを結ぶ結節点としての機能により、一時的な影響は乗り越えることができると考えている」と強調。冬ダイヤの各社の路線計画を注視する考えを示した。