MPI Japanが20周年記念セミナー、MICEの可能性を考察
MICEの専門家による国際団体MPI(ミーティング・プロフェッショナルズ・インターナショナル)の日本支部であるMPI Japan Chapter(MPI Japan)は、その前身のMPI Japan Club時代を含めて今年で創設20周年となったことを記念し、セミナーと情報交換会を開催した。来日したMPI本部会長のフィオナ・ペラム氏は、日本支部の功績について「MPIの会員のメインが欧米であるなか、MPI Japanの創設で世界のMICEの潮流が日本に持ち込まれた。同時に世界の会員が日本を知り、ビジネスをおこなう機会になった」と評価。さらなる活動の活発化に期待を示した。
MPI Japan会長で、バンクオブアメリカメリルリンチのイベントマーケティングシニアバイスプレジデントを務める山本牧子氏は、訪日外国人旅行者が急増するなか、MICEが国や地方自治体の経済戦略の1つに取り入れられるなど、その重要性が認知されていることに言及。MPI Japanとしても国内5ヶ所に活動拠点を置き、MICEを地方へ広げるための取り組みをしてきたことを述べ、「グローバルとローカルをつなげ、日本を拠点にアジアへの橋渡しとなれるよう、高みをめざしていく」と、さらなる発展への意気込みを語った。
セミナーでは、MPI Japan メンバーシップ委員会委員長を務めるJTBコーポレートセールス営業推進本部スーパーバイザーの金井大三氏と、創設者の1人でありMPI Japan アンバサダーを務める、人とホスピタリティ研究所代表の高野登氏が登壇した。
金井氏のテーマは「いまさら聞けないMICE~MICE未来共創の可能性~」。始めに、事業領域を広げるために物事を多角的に見る必要性に触れた上で、MICEは人口や経済、ITの進化などマクロ環境の変化とそれによる社会や企業の課題に対応し、あらゆる企業活動の領域に関わるビジネスであることを説明した。
また、2020年東京オリンピックへ向かう黄金期の今、絶好のチャンスが広がっていると説き、その上で、「ビジネスも大事だが、日本のブランド価値を高め、20年以降の未来を創造する機会と捉えることが大切。MICEは日本の未来を担保するもの」と意義を強調。新たな発想で新しい価値の創造に取り組むことを呼びかけた。
一方、高野氏のテーマは、「MICEに活かすホスピタリティ」。ホスピタリティ業界での長い経験のなかでも、日本初のリッツ・カールトン大阪の立ち上げ時の事例を交えながら、「お客様が言葉で発したニーズを満たすことは当然であり、気づいていないニーズを探すことが勝負どころ」と語った。
また、その軸を競合他社が入って来ない自社の領域とすることで「価格競争に陥らず、戦略が成り立つ」とし、「言われたことをするのではなく、自分たちが提供できる価値を作り出していく領域。これがMICEビジネスのど真んなかにある。お客様が気づいていないニーズは山ほどある」と説明。それを捉える「仮説力」を日々トレーニングして磨く必要があるとし、「これはMICEにも当てはまる。仮説力がなければ提案ができない」と説いた。