日系2社、15年度国際線旅客は8.4%増-NHが初のJL超え
全日空(NH)と日本航空(JL)の2015年度の運航実績で、2社合計の国際線旅客数は前年比8.4%増の1624万8627人となった。座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)が6.2%増だったのに対し、旅客輸送量を表す有償旅客キロ(RPK)が9.8%増とASKの伸びを上回り、利用率は2.5ポイント増の76.4%となった。
旅客数はNHが13.5%増の816万7951人、JLは3.7%増の808万676人となり、年間では初めてNHがJLを上回った。ASKについては、国土交通省が13年の羽田空港の昼間時間帯発着枠の拡大の際に、JLに対する公的支援の代償として発着枠をNHに傾斜配分していたため、14年度の時点でNHがJLを上回っている。
4月28日に開催した決算会見で、NH取締役執行役員の平子裕志氏は旅客数の増加について、「(羽田を内際のハブ、成田を欧米/アジア間のハブと位置づける)『首都圏デュアルハブモデル』が本格的に稼働し始めており、その相乗効果は高い」とコメント。2空港の離発着が集中する時間帯の発着枠を獲得してきたことや、国際線の路線網の拡充、他社との共同事業などに取り組んだことについて振り返り、「今までの集大成として、今回の結果が出てきた」と喜びを示した。
一方、JL代表取締役社長の植木義晴氏は、「ASKは以前から逆転しており、このような時が来るのは当たり前」と説明。「以前から言っているように、我々は規模よりも収益性を追って経営している」と改めて強調した。
各社の実績を方面別で見ると、NHの旅客数はアジアが14.2%増の552万4194人で最も多く、北米・ホノルルは15.0%増の188万9567人、欧州は4.9%増の75万4190人で、全方面で前年を上回った。利用率に関しては1位が北米・ホノルルで0.1ポイント増の74.8%、2位は欧州で4.8ポイント増の74.0%、3位はアジアで3.0ポイント増の73.9%だった。
JLの旅客数は、東南アジアが最も多く8.3%増の326万6598人。前年からの伸び率でも東南アジアが最も高く、太平洋とオセアニアが7.9%増、中国が2.9%増と続いた。
最も利用率が高かったのはグアムで4.3ポイント増の86.1%。以下はオセアニアが4.8ポイント増の84.0%、太平洋が0.3ポイント増の80.3%と続いた。前年からの伸び率は、東南アジアで7.4ポイント増で最も伸長し、2位はオセアニアで4.8ポイント増、3位はグアムと中国で4.3ポイント増だった。
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