現地ツアー予約サイトのViator、日本市場に本格参入
着地型旅行商品の予約サイトを運営するViator(ビアター)は今年から、日本市場への本格参入を開始した。同社は1995年にオーストラリアで設立し、同名のウェブサイトを開設。その後は米国サンフランシスコに本社を移し、現在は165ヶ国以上で3万2000件以上のツアーやアクティビティなどを提供している。このほど来日したアジアパシフィック地域ジェネラルマネージャーのアニタ・アイ氏は本誌のインタビューに応えて、「日本市場での取り組みをスピード感を持って進めたい」と語った。
同社では11年1月に日本語版のウェブサイトを開設。日本円での決済なども開始していたが、同年3月に発生した東日本大震災により活動を停止。その後、14年にトリップアドバイザーの傘下に入ってブランドを確立したのち、日本への再参入に向けた準備を開始した経緯がある。アイ氏は日本市場を「アジアでは中国に次ぐ2位、全世界では上位5位に入る市場」と評価し。今後はアウトバウンドとインバウンドの両方で需要を獲得する考えを示し、日本の個人旅行者向けのサービスの改善、マーケティング戦略の策定などに取り組むとした。
アイ氏はアジア各国の市場動向についても説明し、日本や香港、シンガポールなどを「成熟市場」として評価。「旅行者のニーズが多様化し、FITが盛ん」と述べ、同社の利用者層にマッチしていることを説明した。一方で、アジア1位の中国については、「規模は大きいが未成熟であり、まだ団体でのツアー客がほとんど」とコメント。「(市場規模が大きいため)1番最初に参入することが重要」との見方を示しながらも、当面はその動向を注視していく考えを示した。
アイ氏はViatorについて、「15年以上に渡り全世界でツアーやアクティビティを提供してきた経験があり、地域ごとにデスティネーションエキスパートがいる」ことを強みとして説明。また、商品の予約・決済後に、ニューヨークのワンワールド展望台などの観光スポットにスムーズに入場できるよう、同社オリジナルの特典として電子バウチャーを導入していることなど、独自の仕組みについても紹介した。今後はメディアを通じて消費者にこれらの強みをアピールし、認知度の向上と利用促進をはかる。
取扱商品については、日本発の海外旅行においては日本語が話せるガイド付きのツアー数を拡充するなど、日本人向けの対応を強化。訪日旅行においては、すでに多くの商品を扱う東京に加えて、LCCの就航や増便が続く大阪や北海道、沖縄などのエリアの商品を拡充していきたい考えを示した。
また、アイ氏は販売チャネルの拡大に向け、日本におけるアフィリエイトパートナーの拡充も重視していることを説明した。同社は現在、ホテルや航空会社、旅行会社など3000社以上のアフィリエイトパートナーを持っているという。