スペイン・ガリシア州、巡礼道などの魅力紹介-日本人は2割増
スペイン・ガリシア州からこのほど観光ミッションが来日し、スペイン政府観光局と共同でセミナーを開催した。ガリシア州は世界遺産都市であるサンティアゴ・デ・コンポステーラを州都とし、同地を終着地とする世界遺産の「サンティアゴ巡礼の道」など、人気の観光資源を有するデスティネーション。ガリシア州観光局プロモーション局長のカルメン・ピーター氏は「もっと多くの日本人を迎えたい。受け入れる準備はできている」と呼びかけた。
ピーター氏によると、スペイン北西部にあるガリシア州は沿岸部と内陸部の多様な自然や、300もの源泉のあるヨーロッパ有数の温泉リゾート、海産物やワインなどのグルメなどに恵まれた土地。最近ではスペイン国鉄(レンフェ)が運行する観光列車も注目され、特に5つの産地を訪れるワイン列車や農村の貴族の館など、歴史的景観を巡るルートの人気が高いという。
巡礼の道については日本の熊野古道などと姉妹街道の関係にあり、長く巡礼者を受け入れてきた土地柄で人々のホスピタリティが豊かなことなど、日本や日本人に似ている面が多いことをアピール。2015年には世界遺産の登録範囲が拡大され、さらに16年はサンティアゴ・デ・コンポステーラの聖門が開く特別聖年の年で注目が高まることから、多くの巡礼者が訪れるという。ガリシア州ではサンティアゴ・デ・コンポステーラや巡礼の道を核に、州内を広く周遊してもらうよう、プロモーションを強化していく考えだ。
スペイン政府観光局日本局長のマジ・カステルトルツ氏によると、スペインを訪れる日本人旅行者の数は16年1月が前年比26%増、2月が17%増となり「非常に良い状況」で推移している。同局マーケティング・マネージャーの洞澤徹氏によると、日本人旅行者の6割から7割が訪れ、かつ初めてスペインを訪れる人が多いアンダルシアなどの南部については「商品が似てきている」が、「ガリシア州を含む北部はこれから。歴史、文化、グルメなど魅力的なテーマに富んでいることに気づいている旅行会社は高付加価値の商品を出しており、人気となっている」という。プロモーション・マネージャーの三戸多恵氏も「一般消費者のガリシア州や北部スペインへの注目が高まっている」と強調する。
洞澤氏によれば14年の日本人数は47万5000人で、15年は「おそらく同程度か伸びている」。現在の状況に対しては「踏ん張っていて悪くない。旅行会社の方にも頑張っていただいている」と語り、10月に復便するイベリア航空(IB)により市場の目がスペインに向くことで、16年も「現状維持+アルファ」を期待する。
なお、セミナーでは日本で巡礼の道の情報発信をおこなう「日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会」の理事長の森岡朋子が登壇。巡礼の道を歩く日本人(巡礼証明書「コンポステーラ」を受領した人)は同会が発足した08年には450名だったが、15年には1250名程度まで増加しことを説明した。旅行会社のツアーで参加した人が「もっと長い距離を歩きたい」「ピレネー越えをしたい」などと希望し、FITで訪れる人が増えているという。