ドイツでGTM2016開幕、日本人宿泊数に回復の兆し
(マグデブルク発:特派 山田友樹) 今年で42回目を迎えるドイツ最大の旅行商談会「ジャーマン・トラベル・マート2016(GTM2016)」が4月16日にドイツ北部の都市マグデブルクで開幕した。ドイツ国内からはサプライヤーが350団体、世界45ヶ国からはバイヤーとメディアを合わせて約1100名が参加し、日本の旅行会社は現地法人も含めて20名が集まった。バイヤー向けの教育プログラムでは最新の観光素材などが説明されたほか、ワークショップでは各サプライヤーとのネットワーキングの機会が設けられた。
ドイツ観光局によると、2015年のドイツのインバウンド市場は好調に推移しており、外国人旅行者の宿泊総数は前年比5.4%増の7970万泊で、6年連続で前年の実績を上回る結果となった。一方、日本人宿泊数は3.5%減の121万2288泊で全体に占めるシェアは1.5%となり、17位にとどまった。ドイツ観光局CEOのペトラ・ヘードルファー氏は記者会見で、日本市場について「為替レートを含めた経済状況が影響した」との見解を示した。
アジア・オーストラリア地区統括局長のレイカート・ケッテルハーケ氏は、「毎年12月はクリスマスシーズンで賑わうが、15年はパリでのテロ事件の影響が大きく響き、日本人宿泊数は前年比12.8%減になった」と説明。その上で「1月は2.5%減にまで減少率が下がっており、2月と3月もその傾向が続いている」と述べ、日本市場は回復基調にあるとの認識を示した。
日本人宿泊数が減少している一方、その他のアジアは引き続き増加傾向にある。15年の宿泊数は14.3%増の1007万泊で、国際市場におけるシェアも12.6%まで拡大した。特に香港を含む中国市場は24.8%増の254万泊と大幅に増加しており、市場におけるシェアも3.2%に拡大。現地消費額は29億ユーロに達し、米国、スイスについで第3位の規模となったという。
記者会見ではこのほか、ヘードルファー氏がインバウンド市場における課題について説明。パリやブリュッセルで発生したテロ事件を受けて、セキュリティ対策の強化に取り組んでいることを伝えたほか、ヨーロッパで広がりつつある外国人排斥や人種差別の動きなどに懸念を示した。
▽16年のテーマは「自然」、保護区をアピール
ドイツ観光局では、16年のプロモーションのテーマを「自然」に設定。ドイツ国内に点在する15ヶ所以上の自然保護区に焦点を当てたプロモーションを展開する方針だ。ケッテルハーケ氏は日本市場での展開について「日本人は休暇の取得日数が限られていることから、自然と都市を組み合わせて、都市からの日帰りで自然を楽しむプランを提案していく」と説明した。
また、16年はバイエルン公国のヴィルヘルム4世が「ビールの原料はホップと麦芽と水のみにすべき」と定めた「ビール純粋令」の制定から500周年にあたることから、各地のビール醸造所を紹介していく。そのほか、創立800周年を迎えるドレスデンの聖十字架教会合唱団をフックに、ドイツのクラシック音楽をSIT向けに訴求していく。「旅行会社やメディアとの協業、ソーシャルメディア、ブロガーなどさまざまな形で露出をはかっていく」(ケッテルハーケ氏)方針だ。