週間ランキング、1位はベルギーテロ、欧州全体の協力に期待

[総評] 今週は、ベルギーで発生したテロ事件に関して旅行会社や航空会社の対応状況をまとめた記事が1位になりました。つい数ヶ月前のパリの深い悲しみも怒りもまったく収まらないなか、またこうして同じような惨劇が繰り返されたことに途方もない無力感を覚えます。亡くなられた方々のご冥福と負傷された方々の回復を心よりお祈りするばかりです。

 こうしたテロがそもそもなぜ起きるのか、ということについて改めて考えてみると、自分がおそろしく無知であることに気付きます。宗教や文化の対立と漠然と認識はしていても、あるいはイギリスの三枚舌外交を世界史で学んでいても、多くの人を道連れにして自爆をすることが理想的な世界に近付く手段であると信じる人々がいることを理解できません。

 昨年11月のパリでのテロに際しても書きましたが、平和産業たる観光業こそが平和の実現に向けてイニシアティブをとるべきだという考えに変化はありません。しかし、なぜそんなことが起きるのか、なぜそんなことをできるのか、そういったことを知ろうともせずに理想を語ることも、実は無理解と意見の排除の裏返しなのではないかと反省しています。

 また、パリといえば8位の記事の通りフランス観光開発機構が今週リカバリーキャンペーンを開始したところですが、せっかくの機運に影響が出ることが予想されます。今週のランキングでは、このほかの記事でも「海外回復に向け」「事故対応」「中国復活」など昨今の海外旅行の苦境を象徴するような文言が目立っており、泣きっ面に蜂の状況です。

 パリから半年も経たずにベルギーでテロが発生したインパクトを考えると、その影響は正直なところそう簡単に払拭できるものではないように感じられます。しかし根拠のない楽観視は単なる博打であって、影響が大きいのであれば大きいことを認めた上で対応を決めるべきでしょう。

 そしてその意味でも、フランス観光開発機構で在日代表を務めていらっしゃるフレデリック・マゼンク氏がコメントされている、「欧州全体」での需要喚起は是非とも実現して欲しいものです。

 縁起でもないとお叱りを受けるかもしれませんが、また別のどこかで惨事が起こらないとは限らないわけで、需要への影響の極小化に各国が力を合わせるのがむしろ自然です。このタイミングで英国政府観光庁が日本事務所を縮小するという残念なニュースも飛び込んできておりますが、そのように予算が削減されていくのであればなおさら協力の必要性が増すように思います。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2016年03月18日0時~03月25日19時)
第1位
ベルギーテロ、旅行会社はツアー中止、全日空は運休-各社の対応(16/03/23)
ブリュッセル空港で2回の爆発、地下鉄でも-各社が対応開始(16/03/22)

第2位
バス事故の旅行3社を行政処分、登録取消も-観光庁と都(16/03/20)

第3位
海外回復に向け旅行会社トップが議論-JATA経営フォーラム(16/03/22)

第4位
中国国際航空、新千歳/北京線など増便、成田/上海線は大型化(16/03/20)

第5位
JATA、パリ事件後初の事故対応セミナー、参加者大幅増(16/03/20)

第6位
日本航空、新ビジネスシート導入、7月からB772ERに(16/03/23)

第7位
上期の海外旅行、需要の早期取込に注力-ホールセール特集(1)(16/03/24)

第8位
フランス、大規模キャンペーン開始、「可能な限りの回復を」(16/03/24)

第9位
JATA、「中国復活緊急フォーラム」開催、17年に350万人へ(16/03/22)

第10位
ハワイアン、日本支社に営業など集約-グローバルは予約発券(16/03/23)

※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
人事、JTBグループ役員-4月1日付(16/03/20)
人事、全日空とANAセールス、組織改正も(16/03/20)
週間ランキング、1位はジェットスター、民泊関連も(16/03/18)