東京でILTM JAPAN開幕、過去最大の159社が参加-JNTOが初出展
今年で4回目となるラグジュアリー・トラベル専門の商談会「ILTM (International Luxury Travel Market) JAPAN」が2月29日にコンラッド東京で開幕した。過去3回は京都市での開催だったが、今回は初めて東京で開催。対象はアウトバウンドとインバウンドで、今年はセラー84社、バイヤー75社が参加した。このうちセラーはアウト46社、イン38社で、バイヤーはアウト39社、イン36社だった。商談会は3月1日と2日の2日間開催され、合計で約2850件の商談がおこなわれる予定だ。
ILTM Japan and ILTM Africaエキジビション・マネージャーを務めるギャレス・バーグリー氏は本誌の取材に応え、初めて東京で開催した理由として、「イベントが成長するなか、東京の方がインフラが整っており、海外からのバイヤーやセラーにとってもアクセスの面で利便性が高い」と利点を説明。来年も同様に東京で開催する予定で、セラーとバイヤーの合計で180社の参加をめざす。なお、京都については引き続きパートナーシップを維持しており、イベント終了後のFAMツアーでは京都を訪れる予定だ。
ギャレス氏は、ラグジュアリー・トラベルについて、「富裕層や、旅における消費額が多い人々の旅行などをさす」と説明。旅行者はシニア層が全体の7割から8割を占めているが、35歳以下の若者層が増加傾向にあるという。アウトバウンドについては、以前から人気が高いハワイや、ロンドンなど欧州の主要都市が引き続き主要なデスティネーションであるほか、ブラジルへの需要が高まっているという。
一方、インバウンドについては、「北米がキーマーケット」と説明。人気の都市は東京や京都で、スキーを目的とした訪日旅行者が増えているという。また、同氏は「ILTM JAPANはバイヤーにとって、まだ海外での認知度がそれほど高くない、地方の情報を得る良い機会になる」と述べ、地方自治体などに対して積極的な参加を呼びかけていくとした。なお、今回は同イベントに初めて静岡県が参加したほか、昨年に引き続き奈良県も出展した。
さらに、同氏は「日本は我々にとって重要な成長市場」と語り、2020年の東京オリンピック開催後についても「ロンドン五輪の時と同様、開催前に比べてインフラが改善されていることが見込まれる。引き続き日本をアピールする機会を沢山持ちたい」とコメント。ILTMとして日本市場での取り組みを長期的に続けていきたい考えを示した。
また、今年は日本政府観光局(JNTO)が初めてILTM JAPANに出展した。2月29日に開催したJNTO協賛によるウェルカムレセプションで、JNTO理事長の松山良一氏は「富裕層を満足させるコンテンツは日本にたくさんある」とアピール。今後は「訪日外国人の数だけではなく質も重視していく」と語り、ILTMとの協力のもと、富裕層などの誘客を強化していくという。また、登壇した観光庁審議官の古澤ゆり氏は、16年度は北米、欧州、豪州からの誘客に注力していく方針を示した。
JNTOによれば、16年度はこれらの3市場に対する予算の割合を高める計画。3月1日に開催した記者会見でJNTO海外プロモーション部長の亀山秀一氏は、日本文化などに加えてスキーをフックにしたプロモーションを強化したい考えを語った。このほか、会見では同氏が「人」「自然」「料理」「温泉」「芸術と工芸」の5つをテーマに、日本の多様な魅力を訴求していく旨を説明。富裕層向けの素材として、豪華列車「TRAIN SUITE四季島(トランスイートしきしま)」や「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」などを紹介した。