ジャルパック、早期予約の取込強化-上期はハワイや欧州など注力
ジャルパックは2016年の上期商品で、早期予約の取り込みを強化する。同社代表取締役社長の藤田克己氏は2月2日に開催した16年上期の商品発表会で、訪日客の急増などにより仕入れ環境が厳しさを増している旨を説明。訪日旅行は早期予約の傾向が強いことから「日本人の旅行の計画を業界として早期化しなければならないのではないか」と語るとともに、「予約を取りやすい期首商品の販売は、今まで以上に重要になってきている」と述べた。こうした状況を踏まえて同社は、早期割引期間を延長するなどの取り組みを実施しているところで、16年上期の商品ではオーストラリアやニュージーランドへのツアーで、120日前までの予約完了で1名あたり2万円を割り引く特典を新設した。
そのほか16年上期商品では、日本航空(JL)がビジネスクラスやプレミアムエコノミークラスなどの上級クラスを増やしていることなどを踏まえ、上級クラス専用のコースを増強した。そのうち欧州についてはパンフレットの巻頭企画で、上級クラスを活用した「ゆったり周遊シリーズ」6コースを新設するとともに、「ゆったり連泊シリーズ」3コースを設定。アジアについては、これまでビジネスクラスの予約は参加者からのリクエストに応じて受け付けていたが、今回からは全コースにビジネスクラス利用商品を設けた。
方面別では「ジャルパックとして大きな比重を占めるハワイのさらなる強化と、欧州の復活」に注力していく。海外旅行では「JALパックならではの新企画」「添乗員同行コースの拡充」「現地滞在をより楽しく快適に」の3つのテーマに取り組む方針で、特にハワイではJALパック独自の企画として、「レインボートロリーチャータープラン」などを用意した。
藤田氏は、全日空(NH)が19年度を目途にホノルル線にエアバスA380型機を導入する計画を発表したことについて「ハワイに従来以上に焦点があたることは間違いない。我々にとってもビジネスチャンスとなる」と語った。ただし、価格競争が激しくなるとの見通しも示し「宿泊施設へのこだわり、特徴的な旅行素材などをさらにブラッシュアップさせながら対抗策を考えていきたい」とした。
欧州については、「ツアーの数は減らしていない」と述べ、「むしろ強化したいくらい」と考えを示した。上期は6名催行のコースを新設し、ツアーの催行率を高めるとともに、「添乗員付きコースを増やすことで、参加者に安心して旅を楽しんんでもらえるようにした」という。また、リテーラーが店頭で掲出する欧州方面のパンフレットを減らす傾向にあることから、これまでは別のパンフレットで紹介していた個人旅行型の商品の一部を、機首商品に組み込むなどの工夫をおこなった。藤田氏はそのほか「安全・安心」に向けた取り組みとして、欧州を含む全方面のツアーの添乗員にスマートフォンを携帯させる旨を説明。事件発生時の情報収集や、日本への報告の迅速化をはかるとした。
アジアについては「人数的には大きなシェアを占めており、まだ開拓の余地はある」と述べ、引き続き強化する方針を示した。その一環として、現地の気候などを勘案して屋外観光などを午前に集中し、参加者の体調に配慮するなど、サービスの改善をおこなったという。
国内旅行については15周年を迎える東京ディズニーシーやユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどの関連商品を強化。そのほか3月に開業する北海道新幹線、世界遺産への登録が期待される長崎県の五島列島、3年に1度開催される「瀬戸内芸術祭」などをフックにした商品を造成し、需要の取り込みをはかる。また、沖縄では「JALうたばす」の3コースすべてにリフト付きバスを導入し、車椅子利用者に対応するなどサービスを強化する。