15年訪日外客数は47.1%増の1974万人、消費額は3.5兆円に

  • 2016年1月19日

 日本政府観光局(JNTO)によると、2015年の訪日外国人旅行者数(推計値)は累計で47.1%増の1973万7400人となり、最高記録を更新した。伸び率はJNTOが統計を取り始めた1964年以降では最高で、1970年以来45年ぶりに訪日外国人旅行者数が日本人出国者数を上回った。訪日外国人旅行者による消費額(速報値)は、中国人旅行者の買物支出が牽引して71.5%増の3兆4771億円となり、初めて3兆円を突破。1人あたりの支出も16.5%増の17万6168円にまで増加した。

 訪日外国人旅行者の増加の要因は、中国など周辺国の経済成長やビザ取得要件の大幅緩和、円安による割安感の定着、LCCなどによる航空路線の拡大、燃油サーチャージの値下がり、クルーズ船の寄港増加、継続的な訪日旅行プロモーション、消費税免税制度の拡充などが奏功した。

 観光庁長官の田村明比古氏は1月19日の業界誌向け会見で、「かつてない好調で、世界各国からバランス良く伸びた」と振り返った一方で、「15年のような伸びがいつまでも続くとは考えにくい」とコメント。今後も受入体制の拡充などに努めながら、「中国経済の先行きの不透明感などによる影響について、注視する必要がある」との見方を示した。

 主要20市場については、ロシアを除く19市場が年間の過去最高を記録。中国は前年比107.3%増の499万3800人に達し、初めて最大市場となった。2位以下は、韓国が45.3%増の400万2100人、台湾が29.9%増の367万7100人、香港が64.6%増の152万4300人。米国は欧米市場で初めて100万人を突破し、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムからなる東南アジア6市場は、合計で200万人を超えた。伸び率の1位は中国の107.3%増で、2位は香港の64.6%増、3位はベトナムの49.2%と続いた。

 なお、12月単月の訪日外国人旅行者数は43.4%増の177万3100人で、同月の最高記録を更新。このうちロシアを除く19市場が同月として過去最高となり、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、豪州、カナダでは単月での記録も更新した。

▽2015年の累計訪日外国人旅行者数(前年比)
中国 499万3800人(107.3%増)
韓国 400万2100人(45.3%増)
台湾 367万7100人(29.9%増)
香港 152万4300人(64.6%増)
米国 103万3200人(15.9%増)
タイ 79万6700人(21.2%増)
オーストラリア 37万6200人(24.3%増)
シンガポール 30万8800人(35.5%増)
マレーシア 30万5500人(22.4%増)
フィリピン 26万8300人(45.7%増)
英国 25万8500人(17.5%増)
カナダ 23万1400人(26.5%増)
フランス 21万4300人(20.0%増)
インドネシア 20万5100人(29.2%増)
ベトナム 18万5400人(49.2%増)
ドイツ 16万2600人(15.9%増)
インド 10万3200人(17.3%増)
イタリア 10万3200人(28.1%増)
スペイン 7万7200人(27.5%増)
ロシア 5万4400人(15.1%減)
その他 85万6100人(25.6%増)