やまなみサイクリング-島根飯南(1) 高速道開通に危機感、自転車に着目
島根県中南部に位置する飯南町。中国山地の脊梁部にあたり、町のほとんどは山林が占める。一方で、石見銀山で産出した銀を運ぶ石見銀山街道や出雲街道が町を縦断し、人と物が往来する山陰と山陽を結ぶ要衝の地として栄えた。
自転車観光を滞在プログラムに
それが2015年春に中国横断道・尾道松江自動車道(中国やまなみ街道)が開通し、転換期を迎えた。町内を走る国道54号線の通行量が大幅に減った。それに伴い、町に立ち寄る観光客も減少傾向に陥った。
飯南町観光協会では新たに町への来訪を促し、滞在を楽しめる観光プログラムを模索する中で、自転車に着目。標高は400-500メートルあるものの比較的平坦な地形であり、2次交通の弱さも克服できないかと考えた。国土交通省中国地方整備局が国道54号線に自転車専用ゾーンを設置する構想があることも後押しになり、今年6月から具体化に向けて準備を始めた。
今年最後の3連休、11月21-22日の2日間、サイクリングに詳しい専門家や自転車雑誌の編集者らを東京から招き町内を自転車で試走。飯南町における自転車観光の可能性を探った。
21日、観光協会の事務所がある道の駅・赤来高原からスタート。杉の幹に銀杏の枝が貫通した「杉と銀杏の連理」が境内にありパワースポットとして知名度が上がりつつある赤穴八幡宮、出雲大社の大しめ縄をはじめ全国の神社にしめ縄を納めている大しめなわ創作館などに立ち寄る約30キロを走った。
22日は道の駅・頓原から、町内の温泉の一つラムネ銀泉源泉で飲湯したり、まちなかで手づくり水車を使って里芋の皮むきをしている町民との触れ合いなども楽しんだ。22キロを走った。
2日間を通して参加者に好評だったのは、田園風景の美しさ。ピーク時から4割ほど人口が減少し高齢化が進むものの、田んぼの畔はきれいに刈り取られ、川も集落もゴミ一つ落ちていない。
(15/12/24)
情報提供:トラベルニュース社