アムステルダム、運河や芸術など訴求、16年は減少幅縮小めざす
アムステルダム市観光局はこのほど、市長のエバハート・エザート・ファン・デル・ラーン氏などからなる経済ミッションの来日を機に、オランダ観光局などと共同でメディア向けのセミナーを開催した。ファン・デル・ラーン氏は挨拶において「レンブラントは作品に越前和紙を使用していたし、ゴッホは日本の芸術に憧憬の念を抱いてインスピレーションを得ていた」と述べ、2国間の歴史的な結びつきを強調。その上で「どちらの画家も日本人に愛されており、今ではその作品を見に多くの人が訪れている」とアピールした。
オランダ政府観光局によると、2014年のアムステルダム市内への日本人観光客数は前年比6.6%減の7万1000人で、宿泊数は前年比4.9%減の12万2000泊。一方、国際空港のあるスキポールなどを含めたアムステルダム首都圏については、日本人観光客数は0.9%増の11万2000人で、宿泊数は1.6%増の18万9000泊だった。
15年については、1月から8月までは年初に起こったパリの新聞社襲撃事件の影響で12%減と低迷。秋から冬にかけては、10月末に全日空(NH)が成田/ブリュッセル線を開設したこともあり、オランダとベルギーを周るツアーなどの集客が好調だったが、11月のパリ同時多発テロ事件やブリュッセルの警戒レベル引き上げにともない、直近の予約キャンセルが相次いでいるという。本誌のインタビューに応えたオランダ政府観光局日本地区局長の中川晴恵氏は「16年の春から夏にかけてどれだけリカバリーできるか、先行きは不透明」と説明。訪問者数と宿泊数については、15年は15%減を見込み、16年は5%減に減少幅を縮小したいとした。
セミナーでは、同市のマーケティング組織であるアムステルダム・マーケティングでCEOを務めるフランス・ファン・デル・アーヴェルト氏がプレゼンテーションを実施。10年に「アムステルダムのシンゲル運河の内側にある17世紀の環状運河地域」として、UNESCOの世界文化遺産に登録された運河沿いの街並みを紹介し、年間約400万人が楽しむというボートによる運河巡りなどについて説明した。
また、13年に大規模改修を終えたアムステルダム国立美術館とステデライク美術館、今年9月に新館入口の工事を終えたゴッホ美術館などの観光地もアピールした。16年4月には複合施設「アダムタワー」の開業を予定している旨も説明。ホテルやレストラン、フィットネスジム、オフィス、展望台などを備えた新たな観光素材として訴求した。