瀬戸内クルーズ飛躍へ 神戸でセミナー、寄港誘致策を考える/地方運輸局5局(1)

 西日本の国土交通省地方運輸局5局でつくる瀬戸内海観光連携推進会議はこのほど、神戸市中央区の神戸海洋博物館ホールで「瀬戸内クルーズセミナーin神戸」を開いた。自治体や港湾団体などから約100人が参加し、クルーズ客船の寄港地の事例から寄港誘致策やおもてなしを考えた。

「みなとまち神戸の風景になくてはならないもの」

 同会議は瀬戸内海地域の観光活性化を目的に2011年に発足。近畿、中国、四国、九州の各地方運輸局と神戸運輸監理部で構成している。モデルコースの策定など瀬戸内海観光の魅力を伝える取り組みを展開しておりセミナーもその一環。客船の寄港の意義やおもてなしの方策など寄港地振興の参考にしてもらおうと開いている。

 あいさつに立った川村康二・中国運輸局観光部長は、瀬戸内海は観光資源として有望なエリアでありながら、インバウンドが伸びていない現状を指摘。その上で「ジャパンブランドとしてのクルーズを振興し瀬戸内海の多島美を国内外に知ってもらいたい」と話した。

 講演では寄港地として取り組みを進める2地域が事例を紹介した。

 神戸市みなと振興部振興課長の山村昭さんは、17年に開港150年を迎える神戸港の客船誘致とおもてなしへの取り組みを話した。山村さんが語る神戸港の客船誘致は「みなとまち神戸の風景になくてはならないもの」という観点で捉えているのが他港と違う点。経済発展の要素としてだけでなく観光ブランドの1ピースとして振興を図っているということだ。

 神戸港の強みを「発着港」であることと強調し「寄港地観光はお客にとって大きな意味を持つ」と指摘。下船から観光地まですぐ市街地、そして灘の酒蔵や六甲山、有馬温泉へも近いというターミナルとしての利便性を船社にPRしているという。そこには「港湾、産業部門の協働が不可欠」とし、地域一体の活動の重要性を訴えた。

 おもてなしのターゲットは船客とクルー。ターミナルでの土産販売や市街地では商店街と連携して「コンシェルジュ」を配置するなど細かな配慮を心がけている。瀬戸内クルーズの誘致活動も日本船、外国船いずれに対しても行うなど取り組みは多角的だ。


情報提供:トラベルニュース社