トップインタビュー:ニュージーランド政府観光局日本局長の猪膝直樹氏
春・秋のショルダーシーズンの取組強化
リピーター獲得めざし商品の多様化へ
-旅行会社に対する方針を教えて下さい
猪膝 我々は旅行会社に対し、かなりの回数にわたって個別に勉強会を開催している。観光局では一般的に、旅行会社の営業や造成、リテール部門の人々など、さまざまなターゲットに対しまとめてデスティネーションの紹介セミナーを実施しており、以前は我々もそうだった。しかし、職種によって欲しい情報は異なる。このため、10年から方向性を変え、職種に特化した勉強会を開催した。
勉強会は我々が各社や店舗を訪れておこなうもので、東京が中心だが、大阪や名古屋、福岡などでもおこなっている。我々のような小さなデスティネーションの認知度向上のためには、自らが足を運んで説明しなければなかなか響かない、届かないと考えて実施した。今では年間1000名以上の方にご参加いただいている。
例えばある大手旅行会社と組んでおこなった販売店向けのセミナーでは、まず我々がニュージーランドについて話し、具体的な商品について旅行会社の造成担当に解説していただいた。そういった一歩踏み込んだ勉強会を開催することで、旅行会社にはニュージーランドをより深く理解して、販売につなげていただいている。
また、FAMツアーや現地での旅行見本市「TRENZ(トレンツ)」に参加してもらい、サプライヤーと直接コミュニケーションを取ってもらっている。こうした機会を沢山作ったため、かなりニュージーランドに入り込んでいる担当者も増えているようだ。
オンライントレーニングも展開しており、修了者を対象にした個人研修旅行は来年も継続していく。プログラムの修了者はスペシャリストとして認定しており、現在は20名位だが、来年6月までに60名位までに増やしていきたい。
-今年度のターゲット層についてお答え下さい
猪膝 引き続き、20歳から35歳までの旅行に興味がある若者層と、60歳以上のアクティブシニア層をターゲットにプロモーションを実施していく。ここ数年継続している取り組みだが、両セグメントともに数字を伸ばしている。今後は現地でのアクティビティの魅力をもっと全面に出していきたい。単純に「現地でこういうことができる」というのではなく、「このアクティビティをしに行く」と言うくらいの勢いがなければ、現地での消費も伸びないのではと考えている。
若者に対しては「ニュージーランドはアウトドア天国で、できないことは何もない」点をアピールしていきたい。ウェブサイトやソーシャルメディアなどを活用し、オンラインを中心にプロモーションをおこなっていく方針だ。「世界一周団体TABIPPO」や「トリッピース」など、旅をテーマにした面白いソーシャルメディアが出てきているので、こうしたところともコラボレートしていきたい。
ただし、若年層に焦点を当てると、どうしても消費額が少し落ちる。我々の今後の課題は、若者層にニュージーランドでどのような商品を買ってもらえるのかということ。現地での消費を促進するようなプロモーションを実施できるよう検討している。
また、シニア層向けには、今までどおり自然景観を楽しんでもらうようアピールしていく。我々がショルダーシーズンと捉える、日本の9月から10月に該当するニュージーランドの春と、4月、5月に当たる秋への誘客に力を入れていきたい。「四季の色を見に行きたい」というシニアの旅行者はとても多い。