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アクセスランキング、1位は訪日閣僚会議、関空の拡大計画も

[総評] 今週は、普段と毛色の異なる記事が上位2位を占めました。このうち1位は、政府が訪日旅行をさらに推進するために新たな閣僚会議を開催したことをお伝えしたもので、2位は関空と伊丹の運営権移管先がほぼ決定したという内容です。

 閣僚会議は中長期的な政策を議論する場との位置付けで、具体的には訪日外客数が2000万人を突破した後を見据えて設けられたとのことです。これについて期待を聞かれれば観光産業で働く誰もが、きちんと機能させて諸課題を解決してほしい、と答えると思いますが、どこか猜疑的な目で見てしまう人も多いのではないかと思います。

 第1回の会合では、CIQ体制の充実やビザの要件緩和、民泊問題への対応、日本版DMOの支援といったテーマが示されたようですが、これ以外にも例えば今週掲載したイベントレポートでもご紹介した(リンク)ような地域の受入体制の改善、人材確保と育成、あるいはクルーズのカボタージュなど問題は山積しています。

 また、同じイベントレポートでテーマとなった双方向交流の観点も、閣僚会議の場で取り上げてほしいものです。文章を書く仕事をしていてよく感じるのですが、メッセージというものは伝わらなければ何の意味もありません。そして、それを正しく効果的に伝えるためには、相手について理解することが必要不可欠です。

 来てほしい、来てくれてありがとう、楽しんでいってね、というような思いを、一部の人間だけでなくできる限り多くの国民が拙くとも伝えられるように、そのためには語学的な能力も関係しますけれども、その前に異文化とはどういうものかを肌で感じ、社会的な「常識」を共有しない相手に対する想像力を持つことが重要です。

 2位の記事では、関空と伊丹の旅客数を今後44年間で1.4倍、特に関空は2倍以上に拡大する目標をご紹介していますが、この実現のためにも双方向交流は重要です。総人口は現在が1億2700万人ほどであるのに対して、2060年には8700万人にまで減るとされています。出国者数は2014年が約1700万人であり出国率は約13%となりますが、単純にこの数値をあてはめれば2060年の出国者数は1200万人を割り込みます。

 こうした環境下で国際空港の旅客数を2倍に増やすということが、そう簡単な目標でないことは指摘するまでもないでしょう。訪日外客数が増えていくことは間違いなさそうですが、40年以上も増え続けると期待するのは楽観的すぎるでしょうし、そうなると日本人の利用者も今の数字を維持し、可能ならば増やしていかなければなりません。

 関空の2014年度の旅客数は、国際線の日本人旅客が630万人、外国人が699万人、国内線が653万人です。通過旅客を無視して計算してみますと、仮に日本人が2059年度も630万人となり、国内線が3倍に増えるとしても、外国人の国際線旅客が4倍の2800万人規模にまで増加しなければ全体の目標は達成されないことになります。

 もう一つ試算すると、人口8700万人に対して出国者が1700万人であれば出国率は19.6%、2000万人が海外へ行くならば23.0%となります。日本旅行業協会(JATA)の「数字が語る旅行業2015」によると、2013年現在でおとなり韓国の出国率は29.6%で台湾は47.3%、あるいは日本と関係の深い米国は19.5%です。

 いずれも乱暴な計算であり、これをもって何かを主張するべきではないかもしれませんが、アウトバウンドも忘れてはならない、その根拠くらいにはなるだろうと考えています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年11月第2週:11月6日0時~11月13日18時)
第1位
政府、訪日旅行推進で新たな閣僚会議、年度末に長期ビジョン(15/11/09)

第2位
関空運営権、オリックス連合が優先交渉権者に、4月運営開始へ(15/11/10)

第3位
タイガーエア台湾、羽田/台北線開設、12月20日から週4便(15/11/10)

第4位
アメリカン航空、日本地区営業部統括本部長に永井哲也氏(15/11/08)

第5位
JTB関西、大阪に初のリゾート専門店、「五感」テーマにデザイン(15/11/10)

第6位
JTB、合弁会社で北京に初の訪日旅行専門店-年間取扱1万人めざす(15/11/08)

第7位
カナダが大型商談会、旅行者増で高まる日本市場への期待(15/11/10)

第8位
ピーチ、羽田/仁川線開設、2月から1日1便-関空線増便も(15/11/11)

第9位
アップルワールド、宿泊予約サイト新設、品質保証で返金も(15/11/11)

第10位
ANAグ、仏アルザスとの協力で覚書締結、欧州との関係強化(15/11/09)