トルコ、逆風続きもプロモ方針変えず「南西部の観光に問題なし」
トルコ大使館はこのほど、都内で「建国92周年記念レセプション」を開催し、本誌の取材に応えた文化広報参事官室日本・韓国・台湾担当ディレクターのアリ・カラクシュ氏は、現在の日本市場におけるプロモーション方針を変更せず継続する考えを示した。首都アンカラでのテロ事件発生など、トルコ観光にとっては厳しい状況が続いているものの、重点地域のエーゲ海地方南部や地中海地方西部など南西部については「観光への問題はない」として、引き続きアピールに注力するという。
同室では2014年夏、日本市場における重点地域としてリゾート地のボドルムなどを擁するエーゲ海地方南部と、南東アナトリア地方を選定。そのうち南東アナトリア地方については情勢が不安定なシリアとの国境地帯を含むため、今年に入ってからは重点化を取りやめ、代わりに同国を代表するリゾート地のアンタルヤを擁する地中海地方西部を選び、エーゲ海地方南部とあわせてプロモーションをおこなっている。
ただし、イスラム教過激派組織のISILによる日本人拘束事件などの影響により、2月からは同国を訪れる日本人旅行者の数が急減。9月の旅行者数も約42%減となっており、さらにこの10月にはアンカラでの自爆テロや、駐日トルコ大使館前でのトルコ人とクルド人の乱闘騒ぎなども発生し、トルコ観光を取り巻く状況は厳しさを増している。また、9月にはボドルムのビーチに横たわるシリア人難民の男児の写真が世界的な注目を集め、不本意な形で同地の注目度が上がる結果となった。
カラクシュ氏は「さまざまな出来事が続いているが、我が国は世界第6位の観光大国であり、日本人もトルコを楽しみ続けてくれると信じている」と強調。また、シリアからヨーロッパをめざす難民はトルコの観光地でも散見されるものの「難民が観光客に対して危害を及ぼした例はない」と述べ、「南西部の観光に何ら問題はない」とアピールした。
マーケティング担当の大森正光氏は、現在の2国間の関係について「日本企業の進出など経済交流などは活発化しているが、観光だけが停滞している状態」と説明。また、「国としては確かにISILや難民などの影響を受けている。しかし観光地が影響を受けているわけではない」と強調し、「いずれの事件や問題も外国人や観光客を狙ったものではなく、観光に起因したものでもない」と理解を求めた。なお、1月以降の全世界からトルコへの旅行者数については「前年比1%から2%程度の減少にとどまっており、概ね前年の水準を維持できている」という。
同大使館は今後も、旅行会社やメディア向けのファムツアー、一般向けの広告などによるプロモーション活動を継続する方針。11月上旬には日本旅行業協会(JATA)のワーキンググループによる、エーゲ海地方南部などへのファムツアーも予定通り催行する。