アクセスランキング、GKフィリピン線1位、旅行会社の新展開も

[総評] 今週の1位は、ジェットスター・ジャパン(GK)がフィリピン線への就航をめざしていることをお伝えした記事でした。先々週も国内3地点から台北へ路線を開設するというGKの計画が1位になっているところで(リンク)、勢いの良さが目立ちます。

 GKは2012年7月に就航した後、安全管理体制の不備について国土交通省航空局から厳重注意を受けたこともあって国際線への進出が遅れ、ようやく関空から香港へ乗り入れられたのは今年2月末でした。こうした経緯を踏まえると、その後の6月に成田から香港、年内に台北3路線、そして来春にはフィリピンという路線拡充は、これまで留めていたものが堰を切ったように溢れ出てきているような印象です。

 「LCC元年」といわれた2012年からすでに3年が経過しましたが、国内LCC3社のうちエアアジア・ジャパンは早々に頓挫しバニラ・エア(JW)として出直しを余儀なくされ、GKは先述の通り国際線の就航を延期せざるを得ず、ピーチ・アビエーション(MM)のみが好調という構図が続いていました。しかし、GKがここにきて矢継ぎ早に国際線を追加していく姿勢は、ジェットスター・グループとしての本領発揮といっていいでしょう。

 同グループにはジェットスター航空(JQ)やGKのほか、シンガポールを拠点とするジェットスター・アジア(3K)、ベトナムのジェットスター・パシフィック(BL)があり、各社のハブをそれぞれが結びつけて「ジェットスター」のネットワークを拡大していくのがビジネスモデルです。

 当然、現地で販売する能力は日本発の航空会社よりも高いわけで、さらにジェットスターと同じく各国に航空会社を構えるエアアジア・グループも再進出を予定していますから、ここからが本当の競争かもしれません。

 今週はこのほか、旅行会社の新たな取り組みも複数お届けしました。例えば6位の記事では、日本旅行が店頭スタッフのスキルを評価する新制度を設けていますし、9位ではジェイティービー(JTB)とソフトバンクが提携し、さらに10位ではエイチ・アイ・エス(HIS)が渋谷の店舗で新しいコンセプトを導入しています。

 日本旅行の新制度は「コンシェルジュ・スタッフ」を認定するもので、正直なところそのネーミング自体はホテル出身者としては首をかしげたくなりますが、意欲があり能力の高い社員を認め評価していくシステムは、単に顧客へのアピールだけでなく社員のモチベーション向上も期待できるもので、そういった効果についても今後お聞きしていきたいところです。

 また、JTBとソフトバンクの提携はインバウンドをフィールドとしており、アリババグループの力を活用する点が強みとなりそうです。インバウンドの分野では雨後の筍のように新会社、新サービス、新プロダクトが誕生しているものの、成功への明確な戦略を見出せている企業・団体は少ないように思います。異業種との事業展開も一つの方策としてさらに活発化していくかもしれません。

 インバウンドと地方活性化が密接な関係にあることは間違いなく、従って日本という国の今後にとってインバウンドの成長が意味するものは非常に大きいといえます。当事者としては、やや大げさかもしれませんが、観光業が日本の未来を担うのだという自負を持っても良いはずです。

 そう考えると、今後どのような事業が海外のお客様の心をつかんでいくのか、リアルタイムでそれを観察していけるということは非常に楽しみであり、とても幸運であると感じています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年10月第5週:10月25日0時~10月30日16時)
第1位
ジェットスターJ、来春にフィリピン線就航へ-コンビニ販売も拡大(15/10/27)

第2位
中国南方航空、羽田/広州線開設-成田、中部、福岡も新路線(15/10/25)

第3位
ハワイアン、羽田/コナへ意欲を再表明-AA就航延期は反対せず(15/10/26)

第4位
フィンエアー、福岡線開設で記者発表会、支店開設計画も(15/10/25)

第5位
大韓航空、済州/成田、関空線の運航継続、運休から一転(15/10/27)

第6位
日本旅行、社内でコンシェルジュ認定制度、第1期は3名(15/10/25)

第7位
日本航空とチャイナエアライン、燃油サーチャージ引き下げ(15/10/26)

第8位
外国人目線の広域観光促進を-ツーリズムEXPO訪日シンポ(15/10/27)

第9位
JTBとソフトバンク、訪日中国人取込で提携、アリババで商品販売(15/10/28)

第10位
HIS、渋谷本店移転でコンセプト刷新、「猿田彦珈琲」とコラボ(15/10/27)