入れ墨客の温泉入浴「お断り」が過半数、問題発生は約2割-観光庁調査
観光庁はこのほど国内の温泉施設を対象におこなった、入れ墨(タトゥー)のある利用者への対応に関する実態調査の結果を発表した。その結果、入れ墨のある利用者に対して過半数の施設が入浴を断り、約2割が「トラブルが発生したことがある」と回答していたことがわかった。
同調査は、2013年に北海道の温泉施設が、顔にマオリの伝統的な入れ墨を施したニュージーランド人女性の入浴を断り、問題化したことなどを受けて実施したもの。同庁では訪日外国人旅行者が急増するなか、状況を正確に把握することで同様の事例の再発を未然に防ぎたいとしている。
調査は全国の3768軒のホテルおよび旅館に調査表を送付して実施。有効回答を得られたのは、そのうち15.4%の581施設にとどまった。その結果、入れ墨がある利用者の入浴について「お断りしている」施設は55.9%、「お断りしていない」は30.6%、「シールで隠すなどの条件付きで許可している」は12.9%だった。
入浴をお断りする際に「風紀、衛生面により自主的に判断している」と回答した施設は58.6%。「業界、地元事業者での申し合わせ」で決定している施設は13.0%、「警察、自治体などの要請、指導」は9.3%だった。「お断り」の周知方法として最も多いのは「ポスターや看板などの設置」で70.2%。「受付時に直接断る」は14.5%だった。
入れ墨をした利用者の入浴に関してトラブルが発生したことが「ある」と回答した施設は18.6%。「ない」は78.3%だった。入れ墨をめぐる苦情については「ある」が47.2%、「ない」が51.8%だった。
観光庁は今後の対応を検討するため、条件つきで入浴を認めている場合の具体的な条件などについて、詳細な調査を実施する方針。また、当面は施設管理者と利用者の間で摩擦が発生しないよう、双方に適切な情報提供をおこなうとしている。