政府、訪日向けに大田区で「民泊」-マイカー送迎なども議論

  • 2015年10月21日

 政府は10月20日、総理大臣官邸で「国家戦略特区諮問会議」を開催し、東京の大田区においてマンションなどの空き部屋を訪日外国人旅行者に宿泊施設として貸し出す「民泊」サービスを、旅館業法の特例として認める方針を決めた。増加する訪日外客に対応するための「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」として、2016年1月から同区の一部の地域で開始する。なお、「民泊」についてはAirbnbなどが既に日本国内の各地で展開を拡大している。

 首相官邸によれば、同会議の議長を務める内閣総理大臣の安倍晋三氏は、この日の会議の終了後に「訪日外国人旅行者の滞在をより快適なものとするため、旅館以外に短期宿泊できる住居を広げる」と説明。そのほか旅行関連の規制改革については、「過疎地などの交通手段として自家用車の活用を拡大する。外国人を積極的に受け入れて地方創生の加速化をはかるため、入国管理の迅速化を進める」とも述べている。

 内閣府の地方創生推進室によれば、旅行関連では民泊サービスのほかにも「過疎地域などでの自家用車ライドシェアの拡大」や「入国管理業務の民間委託の拡充」などが議論されているところ。一般ドライバーが自家用車で有償の送迎サービスをおこなう「ライドシェア」については、Uberが福岡市で試験的に実施したものの、国交省は今年3月に無許可でタクシー業をおこなう「白タク」に該当するとして中止を指導している。

 10月21日の定例会見で観光庁長官の田村明比古氏は、政府が認めた特区での民泊については「一定の効果はあると思うが、最低宿泊日数が7日、外国人以外はどうするかといった課題もある」とコメントし、「関係省庁と早めに方向性を出していきたい」と述べた。ライドシェアについては「観光のニーズもあるが、公共の交通機関が少ない地域住民の移動の確保も含めて検討されている。利用者の保護や安全の確保について調整をうまく進めて、良い解決策が見つかることを期待したい」と語った。

 入国管理業務の民間委託については、政府が進める増員の状況について述べた上で「しかし将来的には、国だけではすべてを対応しきれなくなる恐れがある」と説明。出入国ゲート自動化の推進などによるマンパワーの最適化などの必要性などについて説明したほか、「民間委託の形式が良いかどうかは別として、ノウハウを持つOBの方々の活用をどうするかという話もあるのでは」と考えを述べた。