外国人目線の広域観光促進を-ツーリズムEXPO訪日シンポ
地方にこそ日本の自然や文化の魅力が
価値を理解し、体制整備や情報発信を
今年のツーリズムEXPOジャパンでは、業界日の9月25日に訪日旅行シンポジウム「インバウンド需要の地方分散と広域観光周遊ルートの形成に向けて」が開催された。登壇した各方面の有識者は、ゴールデンルートに訪日外国人旅行者が集中している現状を踏まえて、今後の全国各地への送客分散に向けた取組方策などを議論。政府が推進する広域観光周遊ルートの具体的な振興策についても意見交換をおこなった。モデレーター
日本政府観光局(JNTO) 海外プロモーション部担当部長 平田真幸氏
パネリスト
田辺市熊野ツーリズムビューロー 会長 多田稔子氏
九州旅客鉄道(JR九州) 常務取締役 後藤靖子
エクスポート・ジャパン 代表取締役社長 高岡謙ニ氏
JTBグローバルマーケティング&トラベル 取締役地域営業部長 吉村久夫氏
日本政府観光局(JNTO) 海外プロモーション部担当部長 平田真幸氏
パネリスト
田辺市熊野ツーリズムビューロー 会長 多田稔子氏
九州旅客鉄道(JR九州) 常務取締役 後藤靖子
エクスポート・ジャパン 代表取締役社長 高岡謙ニ氏
JTBグローバルマーケティング&トラベル 取締役地域営業部長 吉村久夫氏
訪日旅行は地方創生の「切り札」
熊野では着地型旅行を推進
シンポジウムではまず、モデレーターを務めた日本政府観光局(JNTO)海外プロモーション部担当部長の平田真幸氏が、訪日旅行の現状について報告。「これまで注目されることがなかったが、今は日本でも『インバウンド』という言葉が広く使われている」と述べ、訪日外国人旅行者の消費による経済効果や、その結果としての雇用の拡大などが、日本社会に与えるインパクトの大きさを強調した。また、今後の地方経済に与える好影響についても期待できるとし、「地方創生の切り札の1つとなっている」との考えを示した。
平田氏は、今年は特にゴールデンルートにおいてホテルの稼働率が高く、貸切バスなどの供給が逼迫している状況が見られると説明。ピーク期における地方への送客の分散に対する対策が、政府や自治体、事業者に強く求められていると述べた。
和歌山県の田辺市熊野ツーリズムビューローで会長を務める多田稔子氏は、自身が9年間取り組んできた、熊野古道に外国人旅行者を呼び込むための着地型旅行について紹介。同局を設立して3年から4年の間はプロモーション事業を中心におこなっていたが、大手旅行会社がなかなか外国人旅行者を送客できない状況などを踏まえて、2010年に第2種旅行業を取得して以来、現地でのツアー造成や販売に取り組んでいるという。
多田氏は「目的意識を持った旅行者に熊野を伝えたい」と考え、ターゲットとして欧米のFITを設定したことを説明。また「外国人旅行者を呼び込むには外国人の感性が必要」と感じたことから、海外に向けて情報を発信する「国際観光推進員」として、過去に熊野で英語指導助手を務めていたカナダ人をスタッフとして採用したという。加えて、セミナーや研修などにも注力し、受入側のサービスレベルを向上させたことを強調した。