ノルウェー、初の単独セミナー開催-15年宿泊数は4%増で推移
ノルウェー政府観光局はこのほど、東京と大阪で「ノルウェーセミナー&ワークショップ」を開催した。昨年まではデンマーク政府観光局と構成していたスカンジナビア政府観光局(STB)が、同時期に「スカンジナビアセミナー&ワークショップ」を実施。しかし昨年11月にデンマークがSTBから離脱して、STBは日本事務所を閉鎖したため、今回が初めてのノルウェー単独による開催となった。
セミナーでは、ノルウェー政府観光局観光局日本代表のチェル・エレフセン氏がプレゼンテーションをおこない、今年7月までの日本人宿泊数が、前年比4%増の5万7790泊と堅調に推移していることを報告。日本人出国者の総数が近年は減少傾向にあり、さらに年初の欧州や中東におけるテロ事件発生などで、欧州への旅行者数が低迷しているなか「ノルウェーは健闘している」とアピールした。
その要因については「ヨーロッパのなかでも情勢が安定しており、安全なデスティネーションと認知されているのでは」と説明。11年には同国でも自国民による連続テロ事件が発生し、大量の死傷者を出したが「それでも観光客数には影響がなかった」という。そのほかには北欧4ヶ国を比較した場合でも、ノルウェーが最も健闘している旨をアピールした。同観光局によれば、今年7月までの各国の日本人宿泊数は、フィンランドが7%減の8万590泊、スウェーデンが1%増の4万8076泊、デンマークが13%減の3万9222人となっている。
エレフセン氏はこの日のプレゼンテーションでは、「ノルウェー最大のセールスポイント」であるフィヨルドを楽しみながらのハイキングなどを訴求。都市部を拠点にして簡単に参加できることや、同国の緯度の高さを活かして夏季は白夜、冬季はオーロラのもとでも楽しめることなどを説明した。
最新のトピックとしては「他の北欧諸国に遅れはとったが」と述べた上で、ノルウェーでも建築物や衣類、食器などにハイセンスなデザインが見られるようになり始めたことを報告。「現地でしか購入できないものも多いため、若い世代に提案できる」と語った。また、同国は石油輸出国であることから、最近の原油安により通貨のクローナが昨年と比べて約12%安くなっていることも説明。旅行者にとっては訪れやすい状況にあるとし「来年の商品価格に反映させることができるのでは」との見方を示した。
そのほかには16年の6月から8月までの3ヶ月間、フィンエアー(AY)が週3便で、北緯80度近くに位置するスピッツベルゲン島とヘルシンキを結ぶ路線を開設することも報告。「画期的なルートで、極地をめざすお客様に是非すすめてほしい」と訴求した。エレフセン氏によれば、同島にはロシア人コミュニティーが存在することから、過去にアエロフロート・ロシア航空(SU)が路線を開設していたことがあるが「国際線の開設は久しぶり」という。
なお、今回は初めての単独開催となったが、エレフセン氏によれば東京の参加者数は約80名で「前年とほぼ同数」の結果に。同氏は、今後もノルウェー単独でプロモーションを続けることについて「正直に言って寂しいし『市場にとって親切なことなのか』とも思うが、各国政府の事情があるので仕方がない」とコメントしたが、その一方で、今後はノルウェーの魅力をより強力にアピールし「モノデスティネーション化を進めたい」と意欲を見せた。
なお、ワークショップには、昨年で日本国内における業務を終了したデンマーク政府観光局や、コペンハーゲン観光協会も参加。フィンエアー(AY)なども含めて、17団体がブースを設けた。