生産性向上で「旅館業を成長産業に」 観光庁・旅館経営教室セミナー(2)
生産性が上がるということは「人や施設の稼ぐ力が向上」「顧客満足と作業効率を追求」すること。しかし、特に後者については「二兎」を追うことを意味し、旅館の現場では敬遠されがちだと内藤さんは言う。
そこで、繰り返し作業や無駄なサービスの排除などを徹底することで労働生産性を上げる案を提言。労働生産性が20%上がれば利益も上がるといい「これに向けてロードマップをつくることが大切です。数字面から詰めると見えるものがあります」と強調した。
また、現場でよく聞かれる「人手不足」という言葉のからくりにもメスを入れる。現状、繁忙期と閑散期で同じスタッフ数が出勤し、旅館の1日の営業のなかでも忙しい時間帯に人を割り当てていないという「ミスマッチ」が常態化している旅館が多いことを指摘。シフト管理で適正な人員配置を行えば固定費の削減、固定費の変動費化につながる。生産管理では当たり前のことだが意外と徹底されておらず、現場の「働き方」を改革することで生産性向上は実現すると説いた。
内藤さんは最後に、異業種からの旅館業への参入が進行しているのは「他産業からみれば『旅館はもうかる』と見えています」。
そして「旅館には生産性向上で利益アップに転換できる可能性があります。そうなると労働条件も改善していくという良いスパイラルも期待できます。とにかく『生産性』を社内でも一般的な言葉にしましょう」と呼びかけた。
(15/07/21)
情報提供:トラベルニュース社