低迷する市場で「ライト層」に注力を-エイビーロード海外旅行セミナー
リクルートライフスタイルは7月7日、都内で「エイビーロード海外旅行セミナー2015」を開催し、今年3月に実施した2014年の海外旅行実態調査の結果について報告した。プレゼンテーションを実施したエイビーロード・リサーチ・センター研究員の森戸香奈子氏は昨年を振り返り、航空機墜落事故や感染症の拡大などが続いた「ネガティブなイベントの多い年だった」と総括。今後も出生率の低下などにより「(旅行者数などが)大きく動くという分析はできない」と述べた上で、「状況が厳しい時には(海外旅行経験の多い)『ヘビー層』を大事にするが、今後は『ライト層』にも目を向けなくてはいけないのでは」との見方を示した。
同社の調査では、過去に海外に行った回数が1回から3回までの旅行者を「ライト層」、4回から9回までの旅行者を「ミドル層」、10回以上の旅行者を「ヘビー層」の3つに分類。12年以降の調査ではヘビー層の割合が年々上昇し、ミドル層に減少傾向が見られるものの、ライト層については16%台で安定し、微増傾向にあるという。
ライト層の48.1%は18歳から29歳までの若年層で、そのうち28.7%を女性が、19.4%を男性が占める。同じライト層でもパッケージ商品派は女性の比率が高く、検討時には旅行会社のパンフレットやカウンターを利用する傾向が強い一方、個人旅行派は男性の比率が高く、検討時にはパソコンを利用する傾向が見られるという。ただし両者ともに、検討の際の情報源としては2割以上がスマートフォンやタブレット端末を利用していることから、森戸氏は今後のヒントとなるキーワードとして「ライト層」と「スマートフォン」を挙げた。
ライト層へのアプローチとしては「旅の経験値が少ない彼らには、安価な予算の範囲内でバリエーションを見せること」と強調。卒業旅行など、初めての海外旅行の次に選ばれる提案を積極的におこなうべきとし、ヨーロッパやハワイなどパッケージ派に好まれるエリアに加えて、パッケージ派と個人旅行派の両方に選ばれやすいアジア圏などを「可能性が高い」デスティネーションとして推奨した。
スマートフォンについては「若年層を中心に、今後の主要ガジェットとなるのは明らか」と断言し「スマートフォンだけで検討から予約まで終了できるようにする必要性がある」と提案。「LINEなどでアンケートや顧客対応をおこなう会社も出てきている」と伝え、今後は若年層にアピールする手段として動画サイトなども活用すべきと強調した。
一方で、「ニーズの細分化」もライト層に向けた重要テーマとして掲げ、テーマ性の強い旅や、個性的な宿泊施設に注目度が高まっていることを説明。「成熟した社会では、今やどの業界でも『オンリーワン』がキーワード」と述べるとともに「どこで何ができるのかわかるような旅の提案がマスト」と強調した。