米国、成田で事前入国審査導入へ-ハワイは隣島送客に期待
米国の国土安全保障省(DHS)はこのほど、成田を含む世界の10空港で新たに事前入国審査(プレクリアランス)を開始する計画を明らかにした。成田以外で対象となるのは、ブリュッセル、ドミニカ共和国のプンタ・カナ、アムステルダム、オスロ、マドリッド、ストックホルム(アーランダ)、イスタンブール(アタチュルク)、ロンドン(ヒースロー)、マンチェスター。保安体制の強化などを主目的としたものだが、同省では「入国時に要する時間が軽減されるなど、旅行者にとってもメリットがある」と説明している。
米国がこれまでに事前入国審査を実施している空港は、6ヶ国の15空港。DHSによれば今回、事前入国審査の実施空港として名乗りを上げていた空港は20以上に上るという。新たに対象となった10空港から2014年に米国に向けて渡航した旅行者は、約2000万人に上る。
DHSは審査の具体的な実施方法や開始時期などは現時点では明らかにしていないが、国土交通省航空局の首都圏空港課によれば、成田については今後、国交省や外務省などの関係省庁がDHSと協議し、具体的な実施方法などを決定する見通し。米国から派遣された担当者が常駐する予定で、カナダなどが実施している事前入国審査と同様に、新たな導線を設ける可能性などが考えられるという。
今回の発表を受けてハワイ州観光局(HTA)は、計画を歓迎するコメントを発表。実現すれば成田からの旅行者はホノルルで入国審査を待つ必要がなくなるほか、日本からハワイ島、マウイ島、カウアイ島などの隣島に直接向かう際の利便性が大きく向上すると評価した。ハワイ州は現在、ホノルル国際空港にのみ米国の国境警備および税関機能を保有しており、日本から隣島に向かう際には、ホノルルで入国審査を済ませてから乗り継ぎをおこなう必要がある。