トップインタビュー:東武トップツアーズ代表取締役社長 坂巻伸昭氏

合併で2社の強みを活かしたシナジーを
インバウンド強化、タイに新拠点計画

-インバウンドを強化されるとのことですが

新しいロゴは東武トラベル、トップツアー、Thank youの3つの「T」で構成されており、白い部分は「人」。「人を中心にありがとうの輪を広げていきたい」という考えだ

坂巻 インバウンド1300万人といっても、旅行会社で取り扱うのは10%から15%程度。そこが伸びないと、まず駄目だろう。国の政策的な部分もあるが、海外のランドオペレーターにとって魅力的な商品をいかに構築できるかということが重要だ。2020年の2000万人という目標の中で、一極集中ではさばき切れない。地域をしっかり開発していくことが旅行会社にとって大切であり、そういった意味では、東武グループとしての資源が豊富な群馬や栃木は今後考えていくエリアになっていくだろう。

 インバウンドは東武グループ全体でしっかり取り組む姿勢だ。百貨店やホテルがグループにあるので、うまく活用していきたい。我々のターゲットは海外企業の団体が中心となる見込みで、特に日本企業の現地法人に対するアプローチが強い。FITはあまりないが、日光や鬼怒川などの地域はFIT需要も出てくる。例えば国際会議に夫婦で訪問し、夫は会議、妻は観光、といった団体から発生するものなど、いろいろなアプローチができる。

 また、海外拠点でもインバウンドの誘致に力を入れていく。中国に事務所が、米国、英国には現地法人があるが、早い段階で東南アジアに拠点を設けていきたい。早ければ今年夏くらいにはやりたい。伸び率の高いタイは1つのターゲットであり、地理的な面からすると、近隣諸国に対する「顔」になってくるだろう。タイはイン、アウト共にしっかり伸びていく地域であり、インとアウトの両輪でできるところのほうが、継続的に強いと思う。


-国では広域観光周遊ルート策定の動きがありますが

坂巻 今のゴールデンルートだけでは日本を知っていただく上ではまだまだ足りない。それに通じるような道という感覚で、線や面でインバウンドを考えていきたい。

 キーワードは地域。例えば桜では京都だけではなく東北の桜もある。京都は素晴らしい場所だが、あまり開発されていないような地域に人を動かすことで、宿泊施設の仕入れ問題なども解消させていきたい。

 旅行会社として地方に誘導していくことも必要だろう。例えば日光街道。今までは日光という1つの点で紹介してきたが、道にしていこうという考え方がある。東京発では日光街道の宿場で草加や春日部、岩槻、栃木や鹿沼、日光へつなげて日光から会津街道へ進めていく。今ある観光素材だけでもいい商品ができる。特に栃木地区は「小江戸」と言われており、知られていないが良い物が残っている。新たに作るのではなく、今あるものをきちんとご紹介できるようなルート開発が必要なのではないか。


-ありがとうございました