アクセスランキング、1位はHIS澤田氏、NZ支社長インタビューも

[総評] 今週の1位は、エイチ・アイ・エス(HIS)の創業者である澤田秀雄氏のトークショーについて、聞き手を務められた前地球の歩き方代表の西川敏晴氏が寄稿してくださった記事が1位になりました。澤田氏に関係する話題は常に上位に入りますが、今回もさすがの注目度という印象です。

 本誌の視点で書いた記事もランクインしていますが、個人的に今回のトークショーで最も聞きたかったのは、澤田氏が旅行業の経営について率直にどう感じているのかでした。

 HISグループの2014年10月期の決算で、旅行業の売上は4686億円、営業利益は100億円超となり、一方でハウステンボスのテーマパーク事業は262億円の売上に対して営業利益が77億円を超える状況となっています。昨年末の当欄でも触れましたが、利益率の差に驚くとともに旅行業を営むことの大変さを感じます。

 私は起業家ではありませんし、経営者の才覚があるとも思えませんが、こうした数字を目の前にしたら、旅行業を続けることに徒労感を感じてしまいそうに思います。それでトークショーの質疑応答で聞いてみたわけですが、その答えが記事の内容の一部で、タイトルの通り旅行業は絶対にやめないという強い意欲が印象的でした。

 もちろん、1位の記事で澤田氏が示されているように、人口減や高齢化などもあって日本の旅行市場の先行きは必ずしも明るいというわけではありません。そうした中で企業を存続していくためには、海外旅行や国内旅行であれば自社のパイを維持し拡大していくこと、あるいは訪日や海外発海外の需要を取り込んでいくことが求められます。

 正直なところ、言うは易しの典型とも思えますが何事も道はあるものでしょう。35年でHISを今の規模に育て上げた澤田氏、現社長の平林朗氏ら経営陣、「研修道場」で鍛えられた幹部、そして現場の社員の皆様がこの課題にどのような解を見出すか、非常に楽しみです。

 そして、HISに限らず様々な業態の旅行会社も同様の課題に直面しているわけですが、今週お届けした、ジェイティービー(JTB)がITベンチャーのアソビューに出資するというニュース(リンク)も取り組みの一例です。

 JTBにとっては着地型商品の開発や販売強化を意味するもので、地域の文化体験などは外国人旅行者の興味も高いでしょうから、JAPANiCAN.comでの販売も進みそうです。

 HISやJTBのような資金力、組織力のない旅行会社にとっては鼻白むような話かもしれませんが、何もしなければ何も変わりませんし状況は悪くなっていきます。

 しかし、不可能そうに思われることでも、チャレンジをすれば見えてくるものがあります。今週2位に入った、ニュージーランド航空(NZ)で日本・韓国地区支社長を務めるスコット・カー氏のインタビューでもそれを強く感じます。

 カー氏は2013年に着任し、2019年度までに日本路線のビジネスを2014年度実績の2倍に拡大しようという大きな戦略を掲げられました。便数や座席数、売上などが対象で、2倍というととんでもない数に感じられますが、今のところ順調に進んでいるということです。

 つまるところ、できるできないではなくどうやるか、でしょう。環境変化に対して何もしないのは緩慢な自殺です。例えばIT関連で目覚ましい技術革新が起きて旅行流通に劇的な変化が生じれば、突然死もあり得ます。陳腐な言葉ながら、やはりまずはできると信じることから、です。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年4月第4週:4月19日0時~4月24日18時)
第1位
HIS澤田氏、低利益率でも「旅行業やめない」-幹部育成にも意欲(15/04/23)
HIS澤田氏が語る「成功するビジネス」と未来-十人会例会から(15/04/23)

第2位
トップインタビュー:ニュージーランド航空日本・韓国地区支社長 カー氏(15/04/21)

第3位
主要50社、2月の海外旅行は3.9%減-i.JTBやエアーリンクが好調(15/04/21)

第4位
HIS、フロリダのシンデレラ城宿泊ツアーが当たるキャンペーン実施(15/04/21)

第5位
全日空、5年間の「STAR WARS プロジェクト」実施、特別塗装機を発表(15/04/19)

第6位
成田、GW出入国者は3.4%増予想-関空は17.5%増、訪日客が牽引(15/04/19)

第7位
中国南方航空、15年夏ダイヤで12路線就航、羽田に意欲も(15/04/23)

第8位
カナダ、17年に日本人40万人めざす-若者の取り込み強化(15/04/20)

第9位
アシアナ、搭乗者に見舞金60万円、預け手荷物は返却完了(15/04/20)

第10位
LCC3社のGW、座席、予約人数増加-新興CRR2社、予約率2桁増に(15/04/23)