旅行業公取協が規約説明会-マーク表示義務化、宿泊地「特有の事情」定義も
旅行業公正取引協議会(旅公協)は3月11日、東京都内で春季公正競争規約説明会を開催した。春季説明会は全国で計20回おこなっており、2000名の申し込みがあったという。今回の開催は東京では2回目で、旅行会社を中心に約300名が集まった。
公正競争規約は、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)における各業界の事情を踏まえた自主ルールで、消費者庁、公正取引委員会が認定しているもの。景品規約と表示規約の2種類に分かれており、表示規約は日本国内で邦文で実施する、募集型企画旅行に関する表示が適用対象だ。
旅公協では2014年6月24日に規約を変更しており、説明会では、表示規約の変更内容に関する説明に焦点があてられた。冒頭で登壇した旅公協常務理事の菅原新悦氏は、表示規約の変更で旅公協の会員は「旅公協マーク・ロゴマーク」をパンフレットなどの説明書面に表示することが義務づけられたと説明。「マークを表示している旅行業者は適正表示に取り組んでいるということで、(一般消費者に対し)旅行する際にマークを目印に選ぶようにピーアールしていく」考えを示し、参加者に必ず表示するよう呼びかけた。
さらに、菅原氏は昨年12月1日の景品表示法の一部改正についても言及。違反者に対する指導や措置命令について、非会員の場合、今までの消費者庁に加え都道府県知事にも措置命令権限が与えられることや、事業者に対しては景品類の提供や表示について管理上必要な措置を講じることから、菅原氏は「コンプライアンス体制を整備することが義務付けられた」点を強調。昨年11月27日交付の課徴金制度導入に関する改正で、2016年5月までには不当表示の際は措置命令に加え、課徴金の支払いが命じられることとなることにも触れ「説明をよく聞いて規約の内容を理解し、今後の業務に反映させてほしい」と語った。
また、説明会の講師を務めた専門委員の田中穂積氏は、今年1月15日に事務局名で通達された、説明書面や募集広告に掲載する宿泊地表示に関する「特有の事情」について説明した。
表示規約では、宿泊地について、原則として都市または観光地の具体的地名を表示する必要がある。しかし、例外的にその都市に「特有の事情」で手配が困難な場合は、説明書面の場合複数列記が、募集広告の場合は「○○市または近郊」との表記が可能だ。ただし、説明書面の場合、都市相互間の距離や利用運送機関の種類、所要時間を表示する必要があるので注意が必要。
今回出された事務局長通知では、「特有の事情」に関する解釈を明確化。「旅行会社の仕入れが関係しているのではない、イベント関連など旅行会社の努力だけでは何とかならない」(田中氏)場合を対象と明記した。具体的には、その都市や都市を含む観光地・地域でオリンピック、大型の博覧会、スポーツ大会、コンベンション・見本市、お祭り、花火大会などの大きなイベントが開催される場合とした。また、世界遺産に登録されている都市などで中心市街地の開発が制限されている場合も適用される。なお、近郊表示する場合の宿泊地は、「旅行の主たる目的や日程を損なわない範囲の都市又は観光地、地域」とする必要がある。
また、昨年6月の改正では、客室からの景観に関する表示の項目で「パーシャルオーシャンビュー」の規準が定められた。2012年1月12日付発信の会長名での通達を組み込んだもの。田中氏によると「客室の窓側から海の一部が見える場合」または「客室の窓側から海が見えないがベランダから海が見える場合」で、どちらのケースに当てはまるかを同一視野で見える範囲に明記する必要があるという。
さらに、田中氏は規約などの変更で、早期割引後の旅行代金についても、条件付きで最低・最高の旅行代金の表示ができるようになったと話し、「改正の大きな目玉」と語った。旅行条件を旅行代金に近接して明瞭に表示するとともに、文字の大きさを8ポイント以上にすることが条件だ。
加えて、改正ではテレビやラジオなどにおける広告について、今までの募集広告で必要としていた表示事項をすべて表示できないことから、新たに「告知広告(資料請求広告・予告広告)」を設置したことを紹介。一般消費者が不十分な情報で商品を選ばないようにするため、広告では旅行の申込は受付していないことを表示する基準を設定した。