テーマ性の高い高付加価値商品で勝負、対象も明確化-ホールセール特集(2)

  • 2015年2月26日

羽田発コースもさらに充実
地方需要の取り込みに注力

 商品構成の中で羽田発コースを充実させたホールセラーが多いのも15年上半期の特徴。その大きなねらいは、国内線乗継の利便性を生かした地方需要の取り込みだ。日本旅行は最重点方面のヨーロッパで羽田発コースを前年比15コース増の19コース設定した。去年は羽田国際線発着枠が拡大されて間もないことから、十分な座席を確保することは難しかったが、最近になって「仕入れ環境が整ってきた」(執行役員海外旅行事業部長の西川隆祥氏)という。また、羽田発コースに加えて、110周年記念として「大韓航空でいくヨーロッパ」も設定。国内7空港から仁川空港経由でイギリス、フランス、ドイツ、スイスに飛ぶコースを設けた。

JTB取締役東日本販売本部長の青木氏  JTBWVは、羽田・成田発着の拡大を重点施策のひとつに挙げる。同社によると、現在首都圏発着ツアーのうち約2割が地方発。全国から集まるため催行率も高くなる(青木氏)。このことから、国内線の追加代金無料やリーズナブルな価格で利用できるプラン、国内線があらかじめ組み込まれたプランなどを設定することで地方需要の取り込みを強化する。

 ANAセールスでも、ヨーロッパ、アメリカ、ハワイ、アジアの一部方面で、全国各地から成田・羽田までの乗継料金を追加代金なしで設定。NHの豊富な羽田国内線ネットワークと最大便数となる羽田国際線を最大限活用していく。また、エコノミークラス参加者でも羽田・成田空港ANAラウンジを利用できるサービスを提供することで、付加価値をつけた。


課題がまだ多いネット販売
強化の方針は変わらず

KNT個人首都圏営業本部部長(海外担当)兼首都圏第1海外企画センター支店長の神谷氏  各社ともここ数年、FITの取り込みをねらいやインターネットでのダイナミックパッケージ販売にも力を入れてきた。しかし、依然として課題は多いようだ。JTBWVは昨年度に「エアホ」を新設したが、販売見込みは2000名程度で、当初目標の1万名には遠く及ばない。JTBWV代表取締役社長の井上聡氏は「かなりバージョンアップして来年度以降引き続き取り組んでいく」と話し、15年度の目標で「1万名を最低でも目標にしたい」と意欲を示した。

 KNT個人は「クリッキー」を展開。「まだまだ販売比率は低い」との見方から、構成比の引き上げに向け引き続き強化していく考えだ。日本旅行も、営業企画本部海外旅行事業部担当部長の永尾邦洋氏によると「昨年はなかなか成果につながらなかった。まだオンライン比率は低い」状況。しかし、ヨーロッパ方面ではサイトの見方などで改善を実施。パンフレットを消費者に届けるのが難しくなっている中、情報提供の手段としてもインターネットを重視しており、今後も強化を続けていく方針だ。

 ANAセールスは、海外ダイナミックパッケージ「旅作」で、昨年から「WEB操作サポート」を導入し、予約中の操作などでサポートが必要な利用者に対し、予約センターのコミュニケーターが電話で操作方法の説明などをおこなうサービスを開始した。ウェブ完結を顧客に委ねるのではなく、リアルなサポートをつけることで利用促進をはかる考えだ。