日本航空、成長へ基盤「整った」、15年度は観光需要強化も

  • 2015年2月18日

新シートを搭載したB767型機「SKY SUITE 767」※クリックでフォトニュースに移動 日本航空(JL)は2月18日、2012年度から2016年度までを対象期間とする中期経営計画について進捗状況や今後の方針を確認する「2012年度~2016年度 JALグループ中期経営計画 ローリングプラン2015」を発表した。

 今回のローリングプランでは、2013年度までを「高収益体質を本当に確立できるか試された期間」、そして2014年度を「新たな成長に向け経営基盤を整えた期間」と位置付け。その上で、2015年度と2016年度を「新たな成長を実現し、中期経営計画を達成する期間」とすることを明示した。

 2014年度は、当初は羽田の国際線増枠による競争激化、消費増税、円安などの影響を受けて事業環境が厳しくなると予測し、増収減益を前提としていたが、増税の影響は限定的で、加えて訪日旅行需要の好調、燃油価格の下落もあり、最終的には営業収益が1兆3420億円と増収、営業利益も前年並みの1670億円となる見通し。同じく中期経営計画で掲げる営業利益率10%以上の目標も、12.4%と順調な数字を確保できる見込みだ。なお、海外発の旅客は1割増で推移しているという。

 2015年度は、燃油価格が下落したことで燃油サーチャージの収入が減り国際線旅客収入が100億円減、その他の収入も100億円減となる見通しだが、国内線旅客収入は60億円増となり、営業収益全体は差し引き140億円減の1兆3280億円を想定。これに対して、燃油値下がりで310億円の費用を圧縮でき、円安による外貨建て支払いの増加などを含めても、営業利益は50億円増の1720億円となる見通しだ。

 2015年度と2016年度の方針としては、引き続き安全運航を大前提として「JALブランドの追求」「路線ネットワーク・商品サービス」「コスト競争力」での差別化を推進。具体的には、国際線「JAL SKY SUITE」と「JAL SKY NEXT」の拡充や、マイルでも混雑状況に応じた必要マイル数の見直し、国際線での片道利用特典航空券の導入などを実施する。

 また、路線ネットワークでは国際線について、発表済みの関空/ロサンゼルス線就航などにより座席供給量を2015年度に2014年度比6%増加。今後も、特に北米/アジア間の将来的な需要拡大を見据えて、中長距離路線を中心に拡充していく方針だ。

 さらに、販売面では2014年度から引き続いてウェブ販売を強化。2014年度はダイナミックパッケージの利用人数が2割増となったほか、ウェブ販売比率も国際線、国内線ともに約2%上昇したという。2014年度のウェブ販売比率は国内線で約5割、国際線で約2割。

 このほか、旅行会社経由での販売では、2014年度には欧米路線での共同事業を活用した結果、米州で約20%、欧州で約10%増加。2015年度も、広く新プロダクトの告知と販売を強化するとともに旅行会社と協力して日本発の観光販売促進に取り組む考えだ。