現地レポート:マレーシア2都市で食と癒しの体験
クアラルンプールとマラッカで体験するマレーシアの多様性
2015年、マレーシア政府観光局がグローバルに展開していく観光テーマは「イヤー・オブ・フェスティバル」。多民族国家であるマレーシアならではの文化の多様性に焦点をあて、グルメやイベントを通してその魅力をアピールしていく。デスティネーションに脚光をあてるのではなく、テーマを立てて国の魅力を伝える方針だ。キャンペーンに伴い、マレーシアでは数々のイベントが繰り広げられる。今回はテーマのひとつである「食」を中心に、女性に人気の2都市、クアラルンプールとマラッカを街歩きしながら多様性を探った。
クアラルンプールで味わうバラエティ豊かな食文化
13の州と3つの連邦特別区からなるマレーシアの首都クアラルンプール。アジア有数の大都市で、マレー系、中華系、インド系、そしてカダザン族、イバン族などの先住民族など、様々なバックボーンをもつ民族で構成されている。生活様式や服装、宗教など、民族ごとにそれぞれ特徴はあるが、その中で旅行者がいちばん身近に感じられるのはやはり食文化ではないだろうか。
マレー系の料理の代表格は「ナシレマ」。「ナシ」はご飯、「レマ」は油(ココナッツオイル)を意味し、ココナッツオイルで炊いたご飯に揚げた小魚やピーナッツ、ゆで卵などのおかずを盛り、辛味のサンバルソースをかけたもの。マレー系以外の民族にも愛される、いわば国民食だ。ホテルで美しく盛り付けられたものは、スパイシーさを押さえて食べやすくアレンジされているが、せっかくならローカル向けの食堂で本場の味を試してみたい。
クアラルンプールで庶民向けのワルン(食堂)が集まっている通りは、ジャラン・カンポンバル。人によって好みの店が分かれるが、人気が高い店は、「アンタラバングサ」。店先にテンペ(大豆の発酵食品)やアヤム・ルンダン(鶏の煮込み)、焼き鳥、空芯菜の炒め物など、料理がズラリと並ぶ。食べたいおかずを指で差すと、店員がご飯の上に豪快に乗せ、仕上げにサンバルをかけてくれる。おかずによって金額は異なるが1品1から3リンギットが目安。
中華系で味わいたいメニューは、福建省を由来とする肉骨茶(バクテー)。豚のあばら肉などをスパイスでじっくりと煮込んだ鍋料理で、トッピングに油条(揚げパン)などをのせて、ご飯と一緒に茶漬けのようにして食べる。スパイスやハーブの組み合わせで違いが出るスープが味わいどころだ。ローカルの間で人気が高いのは、ジャラン・インビの肉骨茶の専門店「ユクヤット・バクテー」だろう。
他にもインド系のカレーや福建省の中華から派生したラクサなど、クアラルンプールでは豊かなマレーシアの文化を、食を通して堪能できる。