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トップインタビュー:ドイツ観光局アジア・豪州地区統括局長 ケッテルハーケ氏

日帰り観光で新デスティネーションを訴求
15年テーマは「伝統と風習」、観光街道も

-日本市場に対するプロモーション方針を教えて下さい

ケッテルハーケ ドイツには北から南まで、沢山のバラエティに富んだ旅行素材がある。今後は旅行会社やメディアに対し、ドイツの新しいデスティネーションを訴求していきたい。

 現状、日本人訪問者数の多くはミュンヘン、ベルリン、バイエルン地方、黒い森、フランクフルト、デュッセルドルフなどを訪問して終わってしまっている。我々は旅行会社のカタログに新しいデスティネーションを含めるよう試みていくべきだろう。それと同時に、メディアとともに、消費者に対し、新しいデスティネーションに対する好奇心をかき立てるような取り組みをおこなっていきたい。

 既存の観光地や都市に行かないでほしいというのではなく、そこからまだ訪れたことのない新しい都市や場所に日帰り旅行をするよう促していきたい。こうした取り組みには時間がかかるので、数年かけて取り組んでいこうと考えている。

 また、ドイツを訪問する旅行者は、都市と文化に関心がある。マーケットリサーチを継続し、消費者の需要動向を検証しながら、日本人の興味が高いものをアピールしていきたい。例えば「新しいベルリン」と言われるハンブルク。若く活気のある街で、ベルリンからICEで1時間半程度のため、ぜひ新しいデスティネーションとして訪れてほしい。また、ライプツィヒは若者の町。特に将来の顧客になる若い人たちに見てもらいたい。美しい城を真剣に見るだけがドイツではない。

 さらに、新しいイメージの訴求もはかる。ドイツはすでに旅行先として良いイメージを確立できているが、新しいデスティネーションの紹介には新しいイメージが必要だ。段階を踏んで取り組んでいきたい。


-新しいイメージとはどういうものですか

ケッテルハーケ ドイツは古典的なイメージとして、オクトーバーフェストやバイエルン地方などがあるが、私は新しいドイツ、若いドイツを日本の消費者、特に若者層にアピールしていきたい。

 ドイツは歴史の深い国だが、同時にモダンな国だ。1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊して今年で25周年。ドイツの再統一は地理的な意味だけでなく、新しい発展への可能性を開いた。そういう意味で、ドイツは若い国といえるだろう。

 また、ドイツの文化の多様性を訴求する。今までの歴史や音楽だけではなく、現代の日々の生活を体験することも文化の1つ。広場や街角のテラスでコーヒーブレイクをし、若い芸術家の展覧会を見て、ディスコやロックコンサートなどを楽しむのも文化だ。

 また、食も楽しんでほしい。ドイツ料理の典型的なイメージはソーセージ、ビール、ザワークラウトだが、これは誤りだ。ドイツには地域ならではの多種多様な料理がある。また、13のワイン生産地があり、伝統的な生産者によるワインから、若者たちによる新しい種類のワインまで楽しめる。小規模なワイン生産地域では海外輸出をせず、地元でしか味わえないワインも多い。

 ただし、若者だけに注力してセールスをおこなうのではない。シニア層は我々にとって大切な存在だ。日本の場合はリタイア後にロングホールへの旅行が可能になるケースが多いため、重要視している。特に団塊世代については興味の幅が広いことから、伝統的な観光地に加え、新しいイメージ、観光地を紹介していきたいと考えている。