JTB、箱根町と観光振興で連携協定、宿泊者数500万人めざす
JTB国内旅行企画と箱根町は12月24日、箱根町の観光振興に関する包括的連携協定を締結した。JTBグループが市町村と協定を締結するのは、沖縄県座間味村に次いで2度目。連携協定により、より質の高い観光地づくりと地域の活性化をめざすとともに、既存需要の維持拡大と新規需要創出をはかる。
箱根町によると、同町には年間2000万人の観光客が訪問しており、このうち訪日外国人は50万人。また、宿泊を伴う観光客数は470万人で、うち訪日外国人は16万7000人だという。同日開催した記者会見で箱根町町長の山口昇士氏は、時期は未定としながらも、協定により訪日外国人観光客は2倍の100万人に、宿泊を伴う観光客は30万人増の500万人に引き上げたいと意欲を示した。
今回の協定について、JTB国内旅行企画代表取締役社長の大谷恭久氏は「箱根は首都圏から近く、世界有数の観光地である」とともに「富士山、温泉、和食など様々なものがそろっている。深堀りすればまだまだ色々な魅力を展開できる」と締結の理由を説明。また、山口氏は「国内最大手の旅行会社であるJTBグループと協定を締結することで、観光業のプロフェッショナルのノウハウを提供していただき、施策に反映させることができる」と期待を示した。
箱根町では2011年4月に町、町民、観光事業者と観光関係団体が一体となり魅力ある観光地の形成を推進することを目的に、観光振興における行動指針である「箱根町観光振興条例」を施行。今回の連携では、同条例に基づく「HOT21観光プラン実施計画」の推進のための体制強化に向け、各種対策を実施していく。
HOT21観光プランは「心のあたたまる箱根をつくる」「多様な個性が織りなす1つの箱根をつくる」「国際色豊かな箱根をつくる」「エコ心あふれる箱根をつくる」「とっておきの箱根をつくる」の5つを基本方針にしたもの。今回の提携では5つの方針に基づき、プランの推進を強化するとともに、実現のための議論を継続して実施。さらに、優先事項の決定、議論の経過や決定事項、実践内容の開示を柱に活動していくという。
具体的には、箱根町の活性化に向けた観光振興の仕組みづくりとして、観光推進委員会を設立する計画。箱根の価値向上のためのシンポジウムやパネルディスカッション、研修会も開催する予定だ。また、近年急速に増加している訪日外国人への対応が十分ではないとの考えから、多言語対応など観光案内所の機能強化、湯本駅前観光案内所での外貨両替サービスの開始などのサービスを増強。情報発信を強化しプロモーションも展開していく。
加えて、JTB国内旅行企画と箱根町で協力し、付加価値の高い周遊型、着地型の商品を造成する計画。例えば、箱根ならではの体験として芸者との交流プログラムを組み込んだ商品や、ヘルスツーリズムやスポーツツーリズムなど、テーマ性のある着地型商品の造成と販売をおこなうとした。
大谷氏は「JTBグループの強みは総合力。総合チャネルを活かして箱根町の観光振興に貢献していきたい」と述べた。ウェブ販売ではi.JTB、リアル店舗ではJTB首都圏を活用。このほか、法人ではJTBコーポレートセールス、インバウンドはJTBグローバルマーケティング&トラベル(JTBGMT)など、グループのネットワークを活用していく計画だ。