日韓観光交流拡大シンポ開催、協力強化、地方観光拡大へ

  • 2014年12月3日


シンポジウムには韓国側から約100名、日本側から約200名が参加
 日本政府観光局(JNTO)は12月3日、観光庁の特別協力のもと、都内で韓国観光公社(KTO)と日韓観光交流拡大シンポジウムを開催した。両国間の民間レベルの相互交流促進や、年間交流人数700万人の目標達成に向けたもの。8月に韓国で開催したシンポジウムに続く2回目となる。

観光庁長官の久保成人氏  冒頭の挨拶で登壇した観光庁長官の久保成人氏は「民間と行政関係者が共に手を携えて、日韓観光交流の新時代を切り開く上で、今日のシンポジウムは極めて重要な意義がある」と強調。また、主催者挨拶でJNTO理事長の松山良一氏は「日韓交流は両国を取り巻く諸問題があり、現状は期待したレベルを少し下回っている」と振り返り、「こういう時であればこそ、観光関係者が日韓観光交流拡大を一生懸命力を合わせてやるべき」と参加者に呼びかけた。

韓国文化体育観光部次官の金錘氏  韓国側からは同国文化体育観光部次官の金錘(キム・ジョン)氏が登壇。両国が重点化している取り組みとして地域観光の活性化を挙げ「地域観光が活性化すれば、700万人達成もスムーズに訪れる」と期待を示した。KTO社長の卞秋錫(ビョン・チュソク)氏も700万人達成のためには「首都圏に重点をおいてきた観光需要を、地方へ導く取り組みがより一層と求められている」とし、文化や芸術、スポーツ、自然、体験、お祭りなどの分野で観光交流事業を推進し、相互観光交流と共同開発商品の開発・販売を促進していく必要性を説いた。

 経済界からは日本経済団体連合会(経団連)副会長の大塚陸毅氏が挨拶に立ち、「韓国からの訪日旅行は東北など一部地域を除いて回復基調にあるが、日本発は低迷している」と課題を挙げた。その上で「観光は大きな経済交流をもたらすことにとどまらず、観光を通した人々の草の根交流が末永い両国の友好関係の礎になる」とし、観光促進を呼びかけた。経団連としては、会員に韓国へのインセンティブツアーの実施を呼びかけるなどの取り組みをおこなっているという。

 韓国旅行業協会(KATA)会長の梁武承(ヤン・ムスン)氏も、両国企業の相互インセンティブツアーの活性化が必要と示唆。「2018年の平昌、2020年の東京オリンピックで両国共同のプロモーションをやらなければいけない」と語った。

 このほか、シンポジウムでは鳥取県知事の平井伸治氏、江原道知事の崔文洵氏、VISIT JAPAN大使の李容淑氏が基調講演を実施。平井知事、崔知事は鳥取県と江原道の友好交流締結について紹介した。李氏は日本酒、マッコリをテーマにしたツーリズムの可能性を示唆した。

 鳥取県と江原道は、今年で友好交流20周年。スポーツや障がい者、観光分野での新たな交流拡充を進めているところだ。平井知事は共同の取り組みとして、タイの旅行者向けに鳥取県と江原道を周遊するツアーを提案した事例を説明。五輪により韓国、日本が注目されるなか「一緒に世界中の観光客を呼び込むことが1つの大きな戦略であり、両国が共有すべき課題」と語った。

 崔知事も、2国の五輪開催を先取りした、チャーター機による開催地特別ツアーを提案。日本、中国、韓国、ロシアなど周辺地域を空路または海路で組み合わせたツアーの可能性についても触れ、「(空路では)1時間程度の移動距離なので、非常に競争力がある」と期待を示した。