IATA、日本の空港使用料の低減求め-羽田の発着枠拡大に期待
国際航空運送協会(IATA)事務総長兼CEOのトニー・タイラー氏は11月18日に開催したメディアラウンドテーブルで、日本の空港使用料について「世界水準でみると高額」であるとし、改善する必要性を説いた。
同氏は「高額な空港使用料は日本の経済にとって競合上の足かせとなる」と指摘。成田の着陸料割引や、航空局が羽田空港の深夜早朝便の着陸料を値下げしたことなど、今までの取り組みを評価しながらも他国のハブ空港と競っていく上では見直しが必要と断言。「更なる取り組みをおこなうことで、利用料を全体的に引き下げていくことが必要」と強調した。
また、タイラー氏は「(日本は)インフラの面で旅客需要の伸びに追いつけていない」と語り、消費者の需要が高い東京を中心に、空港容量の拡大を課題として挙げた。羽田では飛行経路の見直しによる増枠が検討されているところだが、これについては「価値は十分ある。空域の最適化により、羽田の1時間あたりの発着枠が80枠から90枠に(10枠)増えることは大きな経済的チャンスを生む」と期待を示した。
加えて、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、日本政府も2020年に訪日外客数2000万人をめざしているところ。同氏は11月19日に開催されたアジア太平洋航空会社協会(AAPA)社長会でも同様の問題について触れ、「羽田の容量拡大なくして、政府の2020年の訪日外客を2倍の2000万人にする目標は達成できない」と強調していた。
このほか、タイラー氏は日本の空港民営化の流れについても「IATAとして民営化に反対するものではないが、規制の枠組みを政府に作っていただき、旅行者の利益を守ってほしい」と要望した。同氏は「民間企業は利益の追求が使命」としながらも、空港は地域や経済にとって重要なインフラであることから、一定の品質の保持などについて規制をかける必要性を説いた。
さらに、同氏は旅客の利便性向上のための「ファストトラベル」スキームの構築について言及。IATAによると、航空旅客数は現在の33億人から2034年には73億人に増加する見込み。こうした状況の中「搭乗客のより効率的な処理が必要となる」とし、顧客に自宅でのバゲージタグ発行などセルフサービス機能を提供することで、空港の混雑緩和や旅客の手続きの簡素化をねらう考えを語った。