名鉄観光サービスは2015年度（2015年1月～12月）の重点送客地を発表した。海外では重点送客地を全方面とし、なかでも重点強化送客地として、14年度に引き続き、タイ、シンガポール・マレーシア、インドネシア、ベトナム・カンボジア、フィリピンの5方面7ヶ国を設定した。

　同社では中国、韓国への訪問者数の減少を受け、14年度は7ヶ国に加えミャンマー、ラオス、ブルネイと韓国、香港を重点送客地とし、落ち込みのカバーをはかってきたところ。しかし、国家間の情勢などの影響で、現在も中国、韓国については厳しい状況が続いている。15年度は引き続き韓国、香港を重要エリアと捉えるとともに、双方向での利用客増加が特に見込まれる7ヶ国を重点強化送客地に据える。プロモーションを継続的におこなうことで、効果を高め、同エリアを得意分野として固定化していきたい考えだ。

　また、訪日ビザの大幅緩和などで7ヶ国からの観光客が急増する中、航空会社の路線が増えたことも選定の1つの要因と説明。各航空会社が日本路線の増強に力を入れる中、日本発の座席確保をはかり、個人客に対し早期受注に対応できるよう、ウェブサイトでの販売を強化していく。

　一方、国内では関西（大阪、京都、奈良、滋賀、和歌山、兵庫）と甲信越（山梨、長野、新潟）を、今回初めて重点送客地に設定。なかでも関西は全社重点送客地と位置づけ、送客目標を24万人とした。名鉄観光サービスによると、従来は沖縄、九州、北海道の3地域から選定していたが、これまで選ばれなかった地区の名鉄観光協定旅館ホテル連盟（名旅連）や協定観光施設の団体「名鉄マーチ会」の要望が大きな力となったという。

　関西については今夏の国内旅行が「西高東低」で、西日本があべのハルカス全面開業やユニバーサル・スタジオ・ジャパンの新アトラクション開業で盛り上がりをみせたことも一因のようだ。今後は通年でキャンペーンを実施する奈良をアピールしていく方針。

　また、来年は高野山開創1200年の記念行事や、姫路城の大天守グランドオープンに加え、「大坂の陣400年天下一祭 夏の陣」「淡路花博2015花みどりフェア」などのイベントも開催する予定で、イベントもフックに送客をはかる。特に淡路花博は同社がパスポートチケットの製作や販売管理業務の委託事業を単独受注しており、力を入れていく。今後は関西仕入センターを中心に、名旅連、名鉄マーチ会関西支部一丸で万全の受入体制で対応していくとした。

　甲信越については、関東、中部、関西各営業本部と国内メディア販売の重点送客地として設定しており、目標は7万8000人。送客の多い営業本部を中心に更なる送客強化をはかる考え。来年3月24日に開通を控える北陸新幹線がもたらす経済効果への期待から設定した。新幹線により北陸に加え、周辺観光地も認知度が向上することで観光客の増加に期待できるという。

　また、15年は7年に1度の善光寺御開帳があるほか、16年にはNHK大河ドラマで「真田丸」の放映が決定。主人公である真田幸村ゆかりの長野県上田市で、大河ドラマに先駆けたイベント開催も見込めるとした。長野については冬場の修学旅行で人気であるといい、送客の強化をはかる。また、今まで送客があまり多くなかった新潟にも力を入れていく考えだ。今後は関東仕入センターが中心となり、関東・中部・関西地区発の団体の早期取り込みをはかるともに、個人型の宿泊プランも積極的に造成していくという。