アクセスランキング、1位は成田LCCターミナル、ANAセも2件
[総評] 今週は、成田国際空港が来年4月8日にLCCターミナルの運用を開始する記事が1位になりました。当初はジェットスター・ジャパン(GK)、バニラエア(JW)、春秋航空日本(IJ)が利用するもので、最大で年間750万人の受け入れが可能といいます。
LCCが日本の文化に合うのかどうかと議論されていたのもたった数年前で、雨後の筍のようにLCCを名乗る航空会社が就航している現状を考えますと変化の早さに驚かされます。ただ、「名乗る」と書きましたが、何をもってLCCと定義するのかという疑問は解消されておらず、むしろ曖昧さを増しているようにも感じます。
私が旅行・航空業界の勉強を始めた頃は、LCCといえば小型機、モノクラス、近距離多頻度運航、セカンダリー空港利用、FFPなし、CRSなし、インターラインなど他の航空会社との提携には前向きでなく、流通はオンラインのみで旅行会社は敬遠といった特徴を備える航空会社と覚えましたが、少なくとも日本の空を飛び交う航空会社には当てはまらないでしょう。
6位の記事では、スクート(TZ)とノックエア(DD)が設立したノックスクート(XW)がタイで航空運航者証明書(AOC)を取得しており、2015年には成田への乗り入れを計画しているところですが、こちらもインフィニ・トラベル・インフォメーションと契約するなど、旅行会社経由の販売を重視しています。
今年3月には、欧州のライアンエアー(FR)がトラベルポートと契約したこともご紹介しました(記事)が、FRはもともとピーチ・アビエーション(MM)代表取締役CEOの井上慎一氏が「LCC原理主義」と表現されたこともあるような会社です。もちろんFRなりの理由があっての判断でしょうけれども、それにしても大きな方針転換に映ります。
こうした変化の先に何があるのか分かりませんが、旅行会社が担うべき役割が一定程度存在し続けることは間違いありません。成田のLCCターミナルは年間750万人ということですが、その旅行者はどこから来てどこへ行くのか、当然のことながら全てが既存の航空旅行経験者であるわけがありませんから、旅行会社の立場からも分析し、彼らにアプローチしていきたいものです。
また、もしかすると「LCC原理主義」的に見ればLCCが軟弱化している中で、さらに急進的なモデルを打ち出す「ネオLCC」のような会社が出てくることもあるかもしれません。これまでLCCがFSCに対してそうしてきたように、「真に安価な運賃を提供し、真に顧客に選択肢を提供できるのは我々である」とLCCを攻撃する、そういった戦略もあり得そうです。
なお、今週はANAセールスの話題も2件ランクインしました。片方はエイチ・アイ・エス(HIS)との合弁会社で、もう一方はアウトドアブランドであるモンベルとの提携についてです。特に後者は、エコツーリズムとスポーツツーリズムの融合とのことで、新しい可能性を感じます。
釈迦に説法ではありますが、例えば皇居ランナーのマナーがニュースで取り上げられるような、地元住民や一般の旅行者との間の摩擦には配慮しなければならないでしょうし、そもそも自然を魅力に誘客した結果その自然に負担がかかっては本末転倒です。
先日、友人とトレッキングに出かけたのですが、気にしてみると山中のそこここに物凄い数のゴミが落ちているものです。自然を愛する旅行者は自然を大事にするものだと思いたいものですが、必ずしもそうではないようで、自然保護のためにはゴミを捨てて帰ってしまうような人もいることを前提として、制度やツアーを設計していく必要があると実感する体験となりました。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年11月第週:11月2日0時~11月7日18時)
第1位
◆成田、LCCターミナル開業は15年4月8日-PSFCの国内線収受も(14/11/02)
第2位
◆HISとANAセの訪日新会社は「HAnavi」、設立し名称とロゴ決定(14/11/04)
第3位
◆ANAセとモンベル提携、「エコトラック」で地域振興、鳥取から(14/11/05)
第4位
◆カナダが日本特化で大型商談会-航空座席増で市場活性化に期待(14/11/04)
第5位
◆ハワイアン航空、日本市場や旅行会社の重要性強調、コナ線は様子見(14/11/06)
第6位
◆ノックスクートが事業許可取得、成田/ドンムアン線就航へ(14/11/04)
第7位
◆日本航空、2Q売上高は3.7%増、営利は3.1%減-通期利益を上方修正(14/11/02)
第8位
◆阪急交通社、訪日FITにトラピ販売、5ヶ国語で予約サイト開設(14/11/04)
第9位
◆訪日FITの旅行先「行きたい」と「行きやすい」に強い相関-JTBF調査(14/11/05)
第10位
◆JTB、今春の学生旅行商品を販売開始、LCC利用コースやクルーズなど用意(14/11/02)